出版社内容情報
世界について、人間について展開されてきた西欧の思考空間には限界があったのか。表象への傾き、理性との間合いの取り方など、人間の思考に掛けられたそれらの「鍵」をフーコーはどうやって解こうとしたのか。歴史の言説分析から「合理性」の型の多様さを描き出し、思考の臨界点に挑んだ「知の考古学者」が到達した地点とは? 旧版に付して長大な序文を書き下ろした、著者渾身のフーコー論。
内容説明
世界について人間について展開されてきた西欧の思考空間にはどのような限界があったのか。表象への傾き、理性との間合いの取り方。人間に掛けられたそれらの「鍵」をフーコーはどう解こうとしたのか。歴史上の言説分析から合理性の型の多様さを描き出さ、思考の臨界点に挑んだ「知の考古学者」の到達点とは?原本に長大な序文を付して全貌に迫る。
目次
序文 ある思考の肖像
序章 系譜学、あるいは愉しい学問へ(自己への自由;もっとも読んだ哲学者 ほか)
第1章 フーコーの望遠鏡(書物の始まり;中国の百科事典 ほか)
第2章 変貌するエピステーメー(一六世紀、ルネサンス;侍女たちのいる空間 ほか)
第3章 外の思考(私は構造主義者ではない;外の思考 ほか)
第4章 権力と主体の問題(言説の分析;主体化の装置 ほか)
著者等紹介
内田隆三[ウチダリュウゾウ]
1949年生まれ。東京大学名誉教授。専攻は社会理論、現代社会論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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原玉幸子
3
時代が実存主義の哲学から構造主義に変移する中でのフーコーの学問追究の教説で、構造主義と相俟って、文化人類学、史的唯物論の再構成、精神分析、文学的テキストやモードの研究其々に、影響を与えたことが理解出来ます。言語を取り巻くエピステーメーや台座、言語の存在と歴史的差異、社会的な権力、暴力、監獄等、「用語が違うだけで、それらを指す本質は実は同じなのでは」との私の仮説が、もし的を得ているなら、「哲学が深化しつつも迷走している時代」と言えます。本書は近代哲学の「必要な座標点」の解説かと思います。(◎2020年・秋)2020/08/07
2h35min
1
めちゃくちゃ難しかった。増補改訂とあるが、本のはじめ半分は、それ伴って増補された長い序文で、特にそれが難解だった。後半つまり本文のほうがむしろ読みやすかった。(といっても難解であることにはかわりはない)印象に残ったのは、①法律をやぶるものと、生活態度悪いものは別である②法律をやぶったものの矯正施設である監獄は、生活態度を矯正するための施設である③よって監獄によって、法律違反者は減らず再生産され④監獄は失敗している という主張2024/01/21
Euphoria
1
#内田隆三 著 #ミシェルフーコー 1週間程前に読了致しました 何とも難読読解な哲学書でした 手引書があれば 読みたいくらいです 本当に難しかったですね デリダやハイデガーやフッサール と古き講義構造時代に 活躍された哲学者 ミシェルフーコー ただならぬ生き方をされています 難しかった ^^;2022/01/30
西葛
0
フーコーの思考は、思考への思考。なぜ思考が発生し得るのか。言葉と物、権力と狂気。思考の場(エピステーメー)が決して自明ではない。『知』それじたいを考古学したイカれたお話。2024/02/21
mutu-bird
0
学生の頃からきちんとフーコーを知りたい、理解したい・・と思いながら10年たった・・。著作にあたるのが筋だが、なんせ理解力不足だから、ここは佐藤優が言うように、まず入門書的なものを1、2冊読んでから。概要は整理できた。フーコーの問題設定はやはり興味深い。「私に同一性を求めないでください」、か。2021/01/07