出版社内容情報
「きっと人間の美しさも醜さも飲み込んで、
太宰のようなかつてない作家になっていくに違いない」
岩井俊二推薦!
言葉や距離を超えて築かれる、友達とも恋人とも名づけられない“あなた”との関係。
7通りの切ない人間模様を描く、はあちゅう初の小説集。
大学三年の一年間、モラトリアムに逃げこむように香港大学に留学したサホは、マイケルというABC(アメリカン・ボーン・チャイニーズ)と出会う。冴えない自分と、人気者の彼。付き合っているようで、本当のところはわからない。やがてマイケルは、奇妙な「秘密」を漏らすようになって――
(「世界が終わる前に」)
17歳の夏休み、パナマに短期留学をすることになったハルナ。ホームステイ先では日本との習慣の違いに右往左往し、学校ではスペイン語が全く分からず困り果てる毎日。そのうえ、クラスで冴えないジェニファーがあれこれ世話を焼いてくるようになって、正直ちょっと迷惑なのだが……
(「友達なんかじゃない」)
念願の世界一周旅行を始めた矢先、ボリビアで高山病になったリサを助けてくれたのは、同じく旅行中のコウさんだった。同じルートの少し先を旅するコウさんとは、会えそうでなかなか会えない。コウさんを追いかけて旅するうちに、リサの中で彼に伝えたい言葉が溢れてきて――
(「世界一周鬼ごっこ」)
内容説明
友達とも恋人とも名づけられない“あなた”との関係。切ない7つの人間模様を描く、はあちゅう初の小説集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Jas
2
形にとらわれなくていい。全てを型に嵌めようとしなくていい。不快なお話もあったけど、心に響く言葉が多い小説だった。2023/10/06
nkwada
1
インターネットで聞いたことがあるような著者名で、ラノベかな?とか思ってあんまり期待していなかったのだが、文芸調の短編集で、感情が高ぶる寸前で話が終わるような感じで、とてもいいねえ。短期留学したパナマでジェニファーという娘が親切にしてくれたんだけど、今ひとつ友達になりきれずに帰国する「友達なんかじゃない」はドライとウェットの加減が妙でとてもよかった。2023/07/10
manami
1
「友達ではないけれど恋人とは言い難い人、普段生きている場所は違っても心の支えになっている人、一度しか会っていなくても人生に大きなインパクトを残してくれた人....呼び方のわからない人間関係を多く持てば持つほど、人生は彩どり豊かなものになっていくと思います」と、著者のあとがきに。まるで旅をしながら誰かにめぐり会うように、7つの短編を楽しみました。2023/07/01