出版社内容情報
主人公はメガバンク広報部長。「部下の手柄は自分の手柄、自分の失敗は部下の失敗」を信条とする頭取のもと、陰謀に巻き込まれていく
内容説明
主人公は広報部長。裏切り者は、中にいる!
著者等紹介
小野一起[オノカズキ]
本名、小野展克。1965年、北海道生まれ。慶應義塾大学卒。共同通信社の記者として、メガバンクや中央省庁等を担当、経済部次長、日銀キャップを歴任。現在は名古屋外国語大学教授、世界共生学科長。2014年に『マネー喰い 金融記者極秘ファイル』(文春文庫)で作家デビュー。本名で経済系のノンフィクションの著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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まつうら
36
日本一のメガバンクを舞台に、社長の竜崎と筆頭相談役の栗原が人事抗争を繰り広げるストーリーだが、どこかで聞いたことのある展開で目新しさを感じない。最後は腹心の寺田が切り札をちらつかせることで、喧嘩両成敗に持っていくが、後任社長の安井がまた凡庸でおもしろみがない。ひとりだけ目を引いたのは、ワールドフィールドテック社長の木谷で、銀行ビジネスはもうオワコンなのだから、オレに任せてITの力で再生するぞという意気込みは頼もしい。前作「マネー喰い 金融記者極秘ファイル」が秀逸だっただけに、期待外れな感じで残念。2022/05/04
R
36
昭和の論理がまかり通る、銀行社会の栄枯盛衰を描いた小説でした。手柄は上司、失敗は部下のせいを公言し、その通りに生きる男と、その男に使われる広報部長の人事抗争記録なんだけども、出世に目がくらみ、自分を見失っていく様というのが生々しく描かれていて面白かった。何かを踏み越えた瞬間、それまでの倫理観と真逆のところへ変化したと思いながらも、受け入れていく様子が興味深いというか、そういうものなのかと思わされた。野心と器とは別の話だと突っぱねるようなラストもよかった。2020/09/03
まぁし
32
個人的には好きです!半沢直樹のテレビ映えするセリフやアクションも良いですが、これはこれで、派手さはないけど、淡々と、それが逆にリアル感が出て良かったです。銀行の派閥争い、子飼いの部下を登用する、一度失敗すると出世コースから外れる……もはや、都市伝説のような語り草になっていますが、実際の現場もそうなのでしょうか。虎視眈々と数少ないポストを狙うしたたかさや、相手を蹴落とすための画策合戦が、“敵は身内にあり”という感じで、見る分には面白かったです。『飼い犬に手を噛まれる』とはこういう事を言うんでしょうね。2022/08/24
Yunemo
31
いつの時代の話なのかなと。作中での富永平太金融担当相時代ですか。確かに当時、メガバンクの中での凄まじい権力闘争の話は実態として聞いた記憶があります。真っ当なバンカーとして生きてきた寺田広報部長、トップからの出世の餌に食いついてしまう。自分が担う責任の範囲でリスクを取り除き、間違いなく仕事をこなすことが銀行員の基本、と言わしめてますが、これこそが一般的な職業人としての生き方。よく言われてた、銀行の常識は世間の非常識、何だかこんなふうに育てられてしまうのかな。一度は目覚めて決断した寺田、最後にどうするのかな?2020/06/28
奈良 楓
15
【良かった】・ 最初から最後までメガバンクの人事抗争の物語。広報部長の寺田を軸に話が進みます。 ・ その寺田に向けた社長竜崎の「君の手柄は私のもの、私の失敗は気味のせい。」という言葉。この言葉がすべてを表す社長と、負けず劣らずの会長・相談役達が繰り広げる醜い争い。ともかく嫌なもの見たさで最後まで読み進めました。 2020/09/29