内容説明
築地に奇妙な西洋館が建っていた。正方形の敷地を対角線で半分に割り、建物も中央のエレベーターを境に分割されている。付近の人々に“三角館”と呼ばれるその屋敷を、二軒の住宅としてそれぞれの家族と暮らしているのは双子の老人蛭峰兄弟。遺言により、二人のうち長く生きた方が家督を継ぎ巨万の富を相続することになっていた。雪の日の深夜に鳴り響く銃声。警視庁の名探偵といわれる篠警部が捜査にあたるなか、第二の事件が起き…。ほか「地獄風景」収録。
著者等紹介
江戸川乱歩[エドガワランポ]
1894‐1965。明治27年10月21日三重県に生まれる。早稲田大学で経済学を学びながらポーやドイルを読む。様々な職業を経験した後、大正12年、雑誌「新青年」に「二銭銅貨」でデビュー。昭和22年、探偵作家クラブ結成、初代会長に就任。昭和29年、乱歩賞を制定。昭和32年から雑誌「宝石」の編集に携わる。昭和38年、日本推理作家協会が認可され理事長に就任。昭和40年7月28日死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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はな
8
小学校の頃に初めて触れた乱歩作品が表題作やったなあって思い出しながら再読。案外犯人とかトリックとかは覚えてた。作者からの挑戦状方式が面白くて、明らかに犯人の異常性は隠されてるけど、たしかに動機に焦点を当てたらこの人以外あり得んってわかるフェアなミステリーやと思う。元になってるのは海外小説なわりに、文章表現とか人情の機微とかはどことなく乱歩らしさも感じた。小学生の自分よく読めたよなこれ。犯人との対峙のシーンはなかなか圧巻。もう一作の「地獄風景」は相当刺激強め。トリックもクソもないシンプルな猟奇殺人って感じ。2024/12/26
こふく
8
久々の乱歩作品、表題作「三角館の恐怖」のみ。2024/06/01
under
2
明智がいないだけで結末は混迷を極め乱歩作品はかなり面白くなると思う。今作の『地獄風景』ではそれが顕著でご都合主義的展開がなくまさに地獄のような数の人死にが出ている。描写はパノラマ島のようで乱歩らしさがある。 『三角館の恐怖』は翻って乱歩らしさがあまりない一作。正当な本格ミステリ小説ではあるものの、あれをクローズドサークルと言っていいのかは疑問。動機とトリックも面白い。2022/08/28
まさ
0
大正から昭和初期にもこのような自由なエキセントリックな本が出版されていたというのは驚きである。 戦前から人々の想像力と好奇心は果てしないものだ2024/01/16
白いカラス
0
地獄の風景は、江戸川乱歩らしかったですね。三角館の恐怖は、ソフトでした。2020/04/13
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