内容説明
簡易宿泊所で暮らす晴男はレイプ現場を中年女性・優子に目撃され、彼女の家につれていかれる。そこには同じ格好をした十名ほどが「家族」として暮らしていた。おぞましい儀式を経て一員となった晴男は、居住者は優子に虐待されていることを知る。一方、区役所で働く北島は、中学時代の初恋相手だった愛香と再会し「家族」での窮状をきく。北島は愛香を救い出す可能性を探るが、“悪魔”が立ちはだかる。
著者等紹介
我孫子武丸[アビコタケマル]
1962年、兵庫県生まれ。京都大学文学部哲学科中退。同大学推理小説研究会に所属。新本格推理の担い手の一人として、89年に『8の殺人』でデビュー。大ヒットゲーム「かまいたちの夜」シリーズの脚本も手がけている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
305
書店で気になり、図書館に予約して読みました。我孫子 武丸、初読です。「尼崎連続変死事件」角田美代子を思い出させるような内容、怖いモノ見たさで快調に飛ばしましたが、後半失速して少し残念な作品となりました。最期まで修羅道を貫いて欲しかった。【読メエロ部】2020/07/06
nobby
164
まずは物語の展開の仕掛けに珍しく気付いたことに得意気!まどかの正体まで見切っていたのは威張れないけど(笑)平凡な中年女性が突如、鬼畜で下品極まりない悪魔へと変貌する様はなかなか強烈…そこから導かれる“家族”という名の洗脳の様子は、個人的には多くの小説やノンフィクションで詳しく触れてきたので正直インパクトは少なめ。ただ、事件を誇張した描写から嫌悪のみ残した他作品と比べると、きちんとミステリ絡めた今作はスッキリ読める。『殺戮にいたる病』を凌ぐの謳い文句は微妙…その大掛かりな驚愕や強烈なグロにはとても敵わない…2020/07/02
モルク
137
ああ、胸くそ悪い!モチーフは尼崎や北九州の事件。家を乗っ取り、洗脳し、奴隷と課す女。家族だからと共同責任、罰則も自分達で与え、女は決して自らの手は汚さない。そして地獄にはまりそこから抜け出すことはできない。欺こうにも、勘が働き何でもお見通しの女。背いたときの報復、家族に対する仕打ちを思うと逃げることもできない。そして最後のどんでん返し。あれっそういうこと?なんかモヤモヤ。「殺戮に至る病を凌ぐ」のキャッチコピーが、やけにハードルをあげてしまった!2020/08/27
utinopoti27
137
一家はなぜ悪女・優子の精神的支配に蝕まれ、抜け出せなくなったのか。そしてこの奇妙な疑似家族の向かう先は・・。本作はあの「尼崎事件」をモチーフに、ミステリ風のアレンジを加えた作品だ。物語は、レイプ殺人の現場を見られたことで、優子に弱みを握られた男と、疑似家族の娘に好意を寄せる男、二人の視点で進行する。重苦しく、胸クソの悪くなる場面はさすがの描写力だが、意味深な仕掛けのほとんどが消化不良のまま終わってしまう。もやっとした収束を含め、狙いが見えてこないのは読んでいて辛い。読み手を選ぶタイプの作品かもしれない。2020/06/08
sayuri
121
『修羅の家』タイトルさながらの醜い争いや果てしのない闘いがエログロを交えながら描かれる。大きな家が立ち並ぶ住宅街、二階建てのモダンな家にある表札は「西村」だが、その家には悪魔の様な女・神谷優子が10名程の居住者を虐待しながら暮らしていた。実際にあった事件を彷彿とさせるストーリーはただただ悍ましい。リーダビリティの高さもありぐいぐい読み進める事が出来るが、残り63頁という所で思いも寄らぬ衝撃が待ち受けており、それまでの頁を見返す事になる。結末に期待するも猟奇的描写のエグさと愛香の決断に肩すかし感が拭えない。2020/06/05
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