出版社内容情報
茶の湯を後世に残す。それが私の復讐だ!
戦国時代、数多の武将を狂わせた茶の湯。その大成者・千利休の志を受け継いだ男は、なんとあの織田信長の弟だった! 戦が苦手でも、出世ができなくてもーー。兄・信長を恐れ、戦いから逃げてばかりいた男・織田有楽斎が、戦国の世を生き延び、やがて茶の湯を大成して後世に残すまでを描いた傑作連作短篇集。〈解説〉田口幹人
本能寺の変 源五郎の道
本能寺の変 宗室の器
関ヶ原の戦い 有楽斎の城
関ヶ原の戦い 秀秋の戯
大坂の陣 忠直の檻
大坂の陣 有楽斎の戦
内容説明
戦国時代、数多の武将を狂わせた茶の湯。その大成者・千利休の志を受け継いだ男は、なんとあの織田信長の弟だった!合戦が苦手でも、出世ができなくても―。兄を恐れ、戦いから逃げて嗤われてばかりにいた男が、戦国の世をしぶとく生き延び、やがて茶の湯を大成して後世に残すまでを描く、傑作戦国絵巻。
著者等紹介
天野純希[アマノスミキ]
1979年愛知県生まれ。2007年「桃山ビート・トライブ」で小説すばる新人賞を受賞しデビュー。’13年『破天の剣』で中山義秀文学賞を、’19年『雑賀のいくさ姫』で日本歴史時代作家協会賞作品賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
岡本
115
東京・有楽町の名前の由来でも知られる織田信長の弟・織田有楽斎にスポットライトを当てた短編集。「本能寺の変」「関ヶ原の戦い」「大阪夏の陣」での有楽斎を主人公に据えた短編3本と、それらと同じ時間軸で有楽斎とは対象的な人物を主人公とした短編3本が収録。本能寺の変では信忠が討ち死にした二条城から逃げ出し、信長の弟で在りながら文化人としてのイメージが強い織田有楽斎の生き様を知る一冊。2020/04/10
タツ フカガワ
56
戦国時代を背景にした6話の短編集で、なかで織田信長の弟ながら武道はからっきし。が、茶道に打ち込む情熱をもって本能寺の変、関ケ原の戦い、大坂の陣をなんとか生き抜いた、というキャラクターで描かれる織田有楽斎の3話の連作が面白かった。2022/02/01
スプリント
18
信長の弟だが武芸は不得手である有楽斎。 信長・秀吉・家康と天下人の時代をいかに生きたのか。 ただ、この作品、章によって主人公が変わり、そちらのほうが魅力的です。2021/04/04
TheWho
16
織田信長の末弟で、戦国武将と云うよりも茶人として有名な織田長益こと織田有楽斎の生涯を博多の豪商島井宗室、小早川秀秋、松平忠直を交えた戦国短編絵巻。千利休に茶道を学び、利休十哲の一人にも数えられた有楽斎は、戦国の世の合戦を忌み嫌いながらも織田信長から豊臣秀吉、そして徳川家康と覇者が目まぐるしく変わる戦国末期に蔑まれながらもしぶとく生き延びていき、子孫は小大名ながらも明治維新まで家名は残り、本人は高名な茶人として歴史に刻まれる。稀有な戦国大名の生き様を描いた面白い一冊です。2023/07/19
さすらいの雑魚
15
織田有楽斎の主演作を中心に編まれた短編集。正史で悪評塗れのクズ男扱いな面々の真実と無念と誇りを描くキリリと締まった逸品揃い。実は地元(愛知県知多市)の偉人たる有楽斎に興味があって手に取ったのですが、小早川秀秋の虚ろな戦争中毒症っぷりに魂射抜かれました。ベトナム帰りならぬ朝鮮帰還兵たる秀秋氏の哀しい邪悪ぶりが凄絶で、美的センスは天下無双の常軌を逸した数寄者だけど意外と良い奴で責任感もあり家族と天下の安寧のため(数寄優先)に頑張る有楽はエゴの強さと闇の深さで完敗。お友達なら有楽だよ。ごめん有楽m(_ _)m