講談社文芸文庫<br> 乳母車/最後の女―石坂洋次郎傑作短編選

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講談社文芸文庫
乳母車/最後の女―石坂洋次郎傑作短編選

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  • サイズ 文庫判/ページ数 288p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784065186022
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

出版社内容情報

戦後、一世を風靡した大流行作家・石坂洋次郎。小説『青い山脈』は映画化され、1949(昭和24)年に封切られると同時に大ヒットし、その主題歌とともにほとんど戦後民主主義の代名詞と見なされるにいたりました。以後、石坂原作の映画が封切られない年は、1960年代後半までありませんでした。それほどの流行作家だったのです。しかし、70年代に入るやいなや、その流行はあっという間に衰えてしまいました。かつて『青い山脈』を明朗健全であるがゆえに評価し、暗くなりがちな戦後に爽やかな風を送ったとして称賛した読者が、こんどはその明朗健全さに飽きてしまったのでしょうか? いずれにせよ、石坂は「忘れられた作家」のひとりとなりました。しかし、石坂には、明朗健全以上に重要な特徴があると編者の三浦雅士さんは言います。それは「女を主体として描く」という特徴です。主人公と言わずに主体と言うのは、女は主人公であるのみならず、必ず、主体的に男を選び主体的に行動する存在として描かれているからです。女は見られ選ばれる客体である以上に、自ら進んで男を選び、男に結婚を促し、自分自身の事業を展開する主体なのです。明朗健全な爽やかさはこの主体的な女性が結果的に醸し出すのであって、逆ではありません。この特徴に誰も気づかずにいたのは驚くべきこと、「明朗健全なるがゆえに売れっ子となり、またそれゆえに忘れられた作家」などというのがいかに浅薄な見方であったか、いまや思い知るべき時が来たと三浦さんは説きます。かくして選び出された「女性の主体的な生き方の最終的な姿を示してほとんど常識を覆す域に達している」短編9編。いまこそふたたび石坂作品の魅力を多くの読者に知ってほしいとの思いから選ばれた傑作です。

内容説明

女子大生・ゆみ子が「不敵な決意」をもって実行した、「絶望的な性質」を有した行為とは?(『乳母車』)十月も末の山の温泉場で見かけた二人の老人の、なんとも不思議なようすのその訳は…(『最後の女』)。戦後を代表する流行作家の明朗健全な筆が無意識に追いつづけた女たちの姿は、現代にこそ光り輝く。石坂文学の本質を示す、表題作を含む名編九作を収録。

著者等紹介

石坂洋次郎[イシザカヨウジロウ]
1900・7・25~1986・10・7。青森県弘前市生まれ。旧制弘前中学校(現・青森県立弘前高等学校)から慶應義塾大学に進学。国文科を卒業後、旧制弘前高等女学校(現・青森県立弘前中央高等学校)に勤務。秋田県の旧制横手中学校(現・秋田県立横手高等学校)勤務時代に『若い人』(33年)、『麦死なず』(36年)を発表。作家としての地位を確立し専業作家となる。戦後は『青い山脈』(47年)が単行本・映画ともにブームとなるほど大ヒットを記録。「百万人の作家」と呼ばれ、流行作家に位置づけられ、作品の多くは映画化された。66年に菊池寛賞受賞。86年に静岡県伊東市の自宅で没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Inzaghico (Etsuko Oshita)

9
登場人物の女性は自分を見失わない。とくに二人の夫を手のひらで転がして人生を全うした「最後の女」のみや子のきっぷの良さときたら。石坂が描く強靭な女性は、自分の母親が投影されているのでは、という見方がある。石坂が描く女性は、解説で三浦雅士が「女が主体的であるためには自ら働かなければならない、働くことの喜びに触れなければならない」と解説している。そして石坂の母親は、行商をして息子二人を大学にやった。「母系制共同体家族」が多く描かれているのも、石坂の時代にはかなり珍しかっただろう。時代が石坂に追いついたか。2020/03/09

ウチ●

6
石坂洋次郎作品を近くの古書店で探したが、無い。ブコフにも基本無い。あまり使いたくないアマゾンで見ると結構なお値段。で、仕方なく講談社文芸文庫。(ページ当たりの価格はかなりの設定。文庫276頁で税込み2090円!)しかし、見合ったリターンあり、でした。私の中では昔の流行作家、といった認識でしたが大きな誤解。「石中先生行状記」より抜粋の「無銭旅行の巻」や「草を刈る女」名作です。宮本常一作などにも通ずる土着的な輝きがあります。この現代で改めて映画化してもらいたい!2023/09/08

鬼山とんぼ

6
自分が石坂洋次郎を読むとは想像しなかった。偶然、作者と同郷かつ稀代の読書家である編者の三浦さんの対談集に接し、激賞されていたためぜひ読んでおこうと思ったのだった。厳選された作品集だったせいもあり、どれも味わい深くかつ明晰で切れ味がよく、うまい作家だなあと思った。読後感は若い頃多く読んだ山本周五郎とよく似ていると感じたのは、くどくど書いていないのに細やかな感情描写が出来ているからだ。山本作品をある書評家が出来の良いお茶漬けをサラサラ掻きこむように入ってくると評していたのを記憶するが、石坂作品にも共通する。2021/04/14

たぬ

5
☆4 長編2作品は読んだことがあって結構面白かったから短編にも手を出してみた。9つのお話では性や生について思い悩む若者が多く描かれてる。戦争未亡人や父親に二号さんがいる女子大生、スキー中に男に手籠めにされる(であろう)娘さん…自分にはありえないシチュエーションだけど、腹違いの乳呑児を衝動的に連れ去ったゆみ子の心は理解できなくもないかも。2020/02/14

朔ちゃん

4
時代が違うとはいえ、男女が惹かれあい、かわす営みは変わらない…。戦後の暗い影が全体的に色濃く残るものの、これからの未来に期待で胸を膨らませる青春恋愛を堪能した。どの短編も傑作だった。「女の道」と「林檎の花咲くころ」「最後の女」はじんわり感動したし、「乳母車」「草を刈る娘」は文学的にも価値があるような作品に思った。石坂氏への愛情が伝わってくる解説・生譜を読んで、さらに読みたい本が増えた。2020/06/27

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