出版社内容情報
藤野 可織[フジノ カオリ]
著・文・その他
松本 次郎[マツモト ジロウ]
イラスト
内容説明
芥川賞受賞第一作『おはなしして子ちゃん』に収録された衝撃作「ピエタとトランジ」が、長篇になって帰ってきた!天才的な頭脳を持つ女子高生探偵トランジと、彼女の才能に惚れ込み助手に名乗り出たピエタ。トランジは事件を誘発させる体質で、次から次に周囲で人が死んでいく。あるとき、トランジに秘められた恐るべき事実が明らかになり、人類は滅亡に向かう―!?芥川賞作家が贈るスリル×サスペンス×友情の超弩級ガールズ・エンターテイメント!
著者等紹介
藤野可織[フジノカオリ]
1980年京都府生まれ。2006年『いやしい鳥』で文學界新人賞を受賞しデビュー。2013年『瓜と目』で芥川龍之介賞、2014年『おはなしして子ちゃん』でフラウ文芸大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
- 評価
購入履歴本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
❁かな❁
152
『おはなしして子ちゃん』に収録されていた「ピエタとトランジ」が長編になって帰ってきた。天才的頭脳を持つトランジ。殺人を誘発してしまう特異体質で探偵もしている。親友のピエタはトランジに惚れ込み助手に。怖いくらいすごい勢いで殺人があり死が溢れている。だけどそれをサラッと描かれているのがすごい。女性のバディもの。ピエタとトランジの絆がいい。女子高生からおばあちゃんになるまでいいコンビ。「死ねよ」「お前が死ねよ」のやり取りも素敵。藤野さん作品では『おはなしして子ちゃん』『ファイナルガール』がお気に入り。2020/04/06
なゆ
112
前に短編で読んだとき、なんか不完全燃焼な読後感だったのを覚えている。とんでもないこれからを予感させる予告編だったのかな、アレは。殺人事件を誘発する体質のトランジと、不思議とその影響を受けないピエタ。女子高生だったふたりが、女子大生になり、医者と探偵になったり、ババア探偵と呼ばれるその先まで。森ちゃんという存在も加わり、周りの人たちがバタバタと殺し殺される不気味な世の中をふたりは淡々と生きていく。人が殺される話は好きじゃないけど、これはそんな奇妙な世界での二人の友情物語。ラストシーンがなんか良かった。2020/04/25
aquamarine
96
「おはなしして子ちゃん」に収録され、強烈な印象を残してくれた「ピエタとトランジ」。それを長編に仕立てた完全版です。長編になっても二人は変わらず、最強のバディです。今回「事件を誘発させる」というトランジの体質に、さらにある事実が明らかになり、一気に話は大きくなります。一話ごとに年を重ねていく二人の人生を夢中で追いました。芥川賞作家と思って読んだらびっくりするほどの躍動感を感じられる作品だと思います。こんなにめちゃくちゃである意味とってもホラーなのに、友情という言葉では足りない二人の絆の物語。堪能しました。2020/04/12
☆よいこ
92
ディストピア系かな。ピエタの高校に転校生として現れたトランジは、天才的な推理力を持った少女だった。トランジの周りでは常に事件や事故が多発し多くの死人がでた。次々と人が死んでいく現象にピエタはわくわくした。様々な殺人事件が起こり、解決されていく。しかもトランジの[事件体質]はウイルスのように感染し続け、世界は死に満たされる。積み上げられる死体の中をふたりは手を繋いで進んでいく。▽なんだろうやばい面白い。サスペンスやミステリーを楽しみたいピエタの心情もわかる気がするけど、ここまで振り切ると狂気の世界。2021/06/27
ベイマックス
85
人の死を誘発してしまうという不可思議な能力を持った女と友だちになった女という物語。二人が出会ったのが女子高生の時。年を重ね、80歳を過ぎても二人で事件を誘発し解決していく。(途中、結婚などのシーンでは友だちになった女だけの物語になる場面もある)。読み始めは設定にムリを感じたけど、徐々に癖になった。『くせになる物語』って感じでよかったです。2024/07/28