出版社内容情報
平安の読者とおなじように物語を楽しめる、画期的現代語訳。
美しい絵とわかりやすいことばで読む、日本の古典文学。
時代背景を丹念に描き、今にも通じる人の心の機微をすくいとる。
同時刊行『千年の眠りを醒ます「伊勢物語」』。日本を代表する古典に令和のいま、光をあてる、まったく新しい解説書。
内容説明
平安期の読者と同じように物語を楽しむ画期的現代語訳。時代背景を丹念に描き、いまにも通じる、人の心の機微をすくいとる。美しい絵とわかりやすいことばで読む日本の古典文学。
著者等紹介
服部真澄[ハットリマスミ]
1961年東京都生まれ。早稲田大学教育学部国語国文科卒。1995年に刊行したデビュー作『龍の契り』が大きな話題となる。’97年『鷲の驕り』で吉川英治文学新人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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アルピニア
63
伊勢物語の全文を読むのは初めて。この本は、装丁や挿画に伊勢物語絵巻、伊勢物語図が用いられており、ページをめくるのも楽しい雅で華やかな一冊。巻末には原文も記載されている。小説というよりは、詳細な解説付きの丁寧な全訳という印象。様々な場面で歌が登場し、歌が日常生活に密着していたことがうかがえる。ことばの影に込められた、あらわにできぬ思い、権力者への揶揄、栄枯盛衰への嘆き・・。同じ歌でも解説とともに状況を踏まえて読むと感じるものが違ってくる。また、単独ではなく物語の中で返歌とともに味わうことの奥深さも感じた。2021/01/04
ムカルナス
9
恋多き貴公子・在原業平を主人公にした物語。「から衣きつつなれにし・・」「筒井筒・・」の歌など断片的には知ってるものの、物語のどの場面なのかは知らなかったので現代語訳で易しく読めてよかった。平城天皇の孫である業平が臣籍降下となった政治背景や藤原北家の栄華の影で没落を余儀なくされる人々など当時の状況も丁寧に説明されていて興味深い。天皇の女御や伊勢の斎宮など禁断の恋を求める業平の女性遍歴は不本意にも臣籍降下となったがゆえなのか・・2020/08/06
ときわ
8
う~ん、期待したんだけどなあ。するする全部読んだのだからとりあえずは面白かったけど、看板に偽りあり。「全訳小説」とあるが全訳だけど、第四章以降はほとんど小説になってない。これは「全訳解説」だ。作者は「千年の眠りを醒ます」で、定説は業平の本気の恋の相手は二人だが、私は最初の恋はこの人だから三人!と、高らかに宣言していた。だったら全訳にこだわらず高貴な恋のお相手三人説を生かして、小説にして欲しかった。(いろいろ考えたことがあるのでコメントに書きます)2020/11/19
Rolf(ロルフ)
2
帰省したので上京時に持っていかなかった本を読んだ。共通テストや一般入試に出そうであんまり出ないよね伊勢物語って。2024/07/13
らいしょらいしょ
2
小説、というには、ちょっと最後の方が歌解説になってしまっているけど… 現代語で”あの貴公子”の恋の遍歴を味わえる。業平の心の内など、序盤でしっかり把握できた上で、数々の交わした歌を見ると、単なるプレイボーイなだけではないようだ。そしておなごたちもなかなかにしたたかな返歌を詠む。男も女もいろんなままならぬ事情を抱えていた。千年前の情感豊かな人々の世界を楽しめた。2021/04/04