内容説明
ミステリー小説家、「伊勢物語」の謎を解く!日本を代表する古典に令和のいま、光をあてるまったく新しい解説書。当時の「常識」を知らなければ、その真の意味はわからない―。
目次
第1章 伊勢物語を読むなら知っておきたいロイヤルファミリー・業平のバックグラウンド
第2章 伊勢物語の主人公の恋物語は、時の権威の象徴・藤原北家へのアンチテーゼであった
第3章 元ロイヤルファミリーの傷心の旅“東下り”の旅先やルートは洗練された都人の憧れの的となった
第4章 都に戻っても報われなかった恋。皮肉をこめた歌遊びで心を晴らすしかなかった主人公
第5章 またもや禁断の恋に走る主人公。臣下の者が伊勢斎宮と結ばれるのは、前代未聞のセンセーションだった
第6章 過ぎた日の恋を思い、父母を失う。積もりゆく諦めと老いが切ない。皇孫の後半生も誰しもと同じく物悲しかった
著者等紹介
服部真澄[ハットリマスミ]
1961年東京都生まれ。早稲田大学教育学部国語国文科卒。’95年に刊行したデビュー作『龍の契り』が大きな話題となる。’97年『鷲の驕り』で吉川英治文学新人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Ayumi Katayama
22
十段の塩尻の謎を解き、十五段のえびす心の謎を明らかにし、十六段は新解釈《紀有常が妻への愛情を示しただって? 馬鹿も休み休みに言いなさいよ》、二十一段の意味はずっと取り違えられてきた解釈をようやく正し《嘆いているわけないじゃない》、二十三段も新訳《高安行きが彼女に飽きたから? まさか》、二十六段だってこう読むのよ《これが男の歌? よく読んでよ》。三十四段にいたっては、千年を経た今、作者の意がようやく通じたというものだ(注:《》内は私の耳に聞こえた著者の声(笑))。2021/07/31
ときわ
8
たぶん初読み作家さんだと思う。読み始めてしばらくしてこれはもしかして丸ごと、同時発売の「令和版全訳小説 伊勢物語」のプレゼン?と思った。随所に「今まで誰もこのことに気づいた人はいなかったんだよ。それが分かった私ってすごくない?詳しくは小説読んでね」(そういう言葉づかいではないけど意味としてはこんな風)と書いてある。でも内容が面白くてどんどん読んでしまい、は~い小説読みますよという気になった。実は最近評判の別の方の「小説伊勢物語」を図書館で借りたんだけど面白く読み進められないうちに返却日が来てしまったのだ。2020/11/13
鈴木貴博
4
伊勢物語の解説。作者と同時代の人にとっての常識は書かれていないということを意識しつつ、それらの事項を踏まえたうえで、これまで謎とされ、また解釈が困難とされてきた部分や整合性に難があるように思われる点について、新たな解釈、読み方を提案し、より整合をもって深く物語を理解しようとする。歌のちょっとした新解釈から伊勢物語の世界観が変わるような驚きの発見まで、楽しく読んで視野を広げることができた。新解釈の是非を評価する能力を持たないが、納得感が得られるものが多いのは確か。2020/06/18
zatugei
2
「伊勢物語」は名前は有名だが、現在ではあまり読まれない古典文学。江戸時代には、女性にとっては和歌の教科書だったと知って、とりあえず手に取った。在原業平およびその相手の女性たちの社会的は背景を考えると、なかなか生々しい内容らしい。これは解説書なので、翻訳も読んでみたい。2020/07/28
み
1
当時の人はどう読めていたのか2023/07/01