出版社内容情報
才能 VS.努力
熱血算術少女たちに、寺子屋の師匠は振り回されっぱなし!
『髪結百花』で第一回日本歴史時代作家協会賞新人賞を受賞した新鋭のデビュー作、待望の文庫化!
享保十一年、茅ヶ崎は大岡越前守の菩堤寺である浄見寺。今は亡き夫の跡を継ぎ、桃は寺子屋で子どもたち相手にお師匠さまをしている。そんなある日、酒匂川の氾濫で両親を亡くした春が寺子屋を訪ねてくる。すでに大人の身でありながら、もう一度算術を学び直したいという。はじめは戸惑う桃だったが、春の朴訥さと一生懸命さに次第に魅せられていく。しかし、寺子屋で一番秀才な生意気娘・鈴が黙っているはずはなく……。
第11回小説現代長編新人賞受賞作!
内容説明
亡き夫の跡を継ぎ、浄見寺で寺子屋の師匠をしている桃。ある日、すでに大人でありながら、学問を学び直したいという春が訪ねてくる。最初は戸惑う桃だったが、春の隠れた才に次第に魅せられていく。一方、寺子屋で一番優秀な生意気娘の鈴は、春のことが面白くないようで。第11回小説現代長編新人賞受賞作。
著者等紹介
泉ゆたか[イズミユタカ]
1982年神奈川県逗子市生まれ。早稲田大学卒業、同大学院修士課程修了。2016年に本作『お師匠さま、整いました!』で第11回小説現代長編新人賞を受賞しデビュー。『髪結百花』が第1回日本歴史時代作家協会賞、第2回細谷正充賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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TakaUP48
41
亡き夫は、歳の離れた桃を大切に扱ってくれた算術家で寺小屋の主。その夫の跡を継ぎ、寺小屋の師匠となった”桃”。酒匂川の氾濫で両親を亡くした”春”が、学問を学び直したいと寺小屋へ。だが、寺小屋には秀才ながら問題児の”鈴”が。3人の女子が、算術を通して大きく成長していく過程を感動的に描く。八算・見一のわり声の登場にはビックリ。算額、渾発(コンパス)、塵劫記での俵算や現高校生が習う和の立方公式、円で作られた十文字の面積の求め方も出てくる。実用的な治水用の三角枠も登場。あらら、平助と桃は夫婦に。続編を読みたいです!2020/05/03
つーこ
40
なんと瑞々しい小説だろうか。学問に取り組む3人の女性たち。それぞれにおかれた環境は違うが、輝く未来しか見えてこない!学問に対するひたむきさだけじゃなく、人を認める正しい心とか、色々を背筋がピンと伸びるようだった。2022/11/05
のびすけ
27
泉ゆたかさん初読み。デビュー作とのこと。作者紹介で女性作家さんだったことに初めて気が付く。寺子屋の師匠・桃と教え子たちの成長の物語。桃は亡き夫の跡を継ぎ寺子屋の師匠をしているが、その実学問は苦手で、それを隠して師匠然と振る舞っている。教え子の春や鈴はそんな桃の本心を知ってか知らずか、熱心に学問に励み、成長していく。亡き夫に嫁いだ時の桃は15で、その時夫は既に50代の初老。結婚生活で一番楽しみにしていたのは交合で、毎晩のように求めていたというが、これには少々眉を顰めてしまった。2020/10/18
一五
14
もうひとつ、算術に興味をそそられない寺子屋の女師匠のもとで、算術に才を発揮する二人の娘。読んでるこっちも数字×なので う~。この師匠あまり魅力的じゃない…ような……2020/09/24
イシカミハサミ
12
舞台は寺子屋。 学問の意味とか学問のある生き方、 あたりがメインテーマだと思うけれど、 終盤の盛り上がりどころがそれとは少し距離のある感じだったのが残念。 序盤は、特に女性陣のキャラクターがわかりづらかったのだけれど、 それぞれ自立心を見せてから輝き始める。 あれが男性の無意識下のバイアスでの抑制を表現しているとしたら、 すごい。 タイトルから噺家の話かと思っていたのは、内緒。2020/06/02