内容説明
月曜日の朝、小6の一将に声をかけたのは、幼なじみの咲良でした。「一将の弟、先生に怒られて泣いてたよ」運動が苦手な弟の将人は、「できない子は朝練に来て」と先生に言われたのに大縄跳びの練習に行かず、怒られたのです。でも、将人にとって、苦手な運動の中でも大縄跳びは「できる」に入ります。将人は怒られなくてはならなかったのでしょうか?
著者等紹介
工藤純子[クドウジュンコ]
東京都生まれ。2017年、『セカイの空がみえるまち』(講談社)で第3回児童ペン賞少年説賞を受賞。日本児童文学者協会会員。全国児童文学同人誌連絡会「季節風」同人(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Willie the Wildcat
84
大人の都合が散見される世の中。理屈では分かっていても、ついつい大人の事情で子供たちを振り回した自分自身の経験が頭に浮かび、育児時代の言動をまずは自省。子供たちの声を”聴く”、そして子供たちが声をあげることができる土壌の必要性を、大人・子供、役割などに関係無く再認識できる本著。唯一悩ましのが、”鶴の一声”でコトを片付けた場面。少々現実的すぎて、(親・子供双方の読者にとって)児童書としてアリなのかなぁと、漠然と感じた読後。2021/10/02
千穂
41
児童書というより、子どもたちに関わる大人向きの本でもあるね。大縄跳び大会の練習から学校に行きづらくなった1年生。その事を問題提起した彼の周りの人たち。学校は誰のもの?もちろん主役は子どもであるべき。2020/11/07
ほんわか・かめ
22
学校は誰のものか。《学校は、必ず行かなくてはいけないところなんだろうか。もし、学校に行かせるのが義務なら行きたくなるような学校にするのもまた、大人の義務なのではないだろうか。》《学校って、どんどん変わっていくものなのかもしれない。どうせ変わるなら、いいほうに変えたい。》教師の叱責により学校にいけなくなった弟。先生に過ちを認めさせたいクラスメイト。そんな行動を起こす余裕もない厳しい家庭環境の子。親でさえ組織に打ちのめされる現実。各々に事情があるにせよ、やはり理不尽な思いをする子がいるのは幸せではないよね。2023/06/10
信兵衛
21
当事者である子供たちが自ら考え、行動してみるところが素晴らしい。2019/12/29
雪丸 風人
20
”学校生活は誰が担任になるかに左右されるから、まるでロシアンルーレットのよう”そんな言葉が印象的でした。6年生の男女を中心に、学校で起きた問題を様々な視点から考えていく物語です。優しいだけの人もいなければ、悪いだけの人もいない。立場が変われば正しさも変わり、正しさが人を傷つけることもある。そんな世の中の複雑さに触れることで、他者理解の助けにもなりそうですね。子どもたちの中では、流されやすいけど、弟思いで、やるべきときにはしっかりやってくれる小6男子の言動が気に入りました。(対象年齢は11歳半以上かな?)2021/02/23