内容説明
「○○座生まれのあなたは…」―日常の中で誰もが触れる「星占い」。その起源には、紀元前一〇世紀頃、現在のバグダッド南方に位置するバビロニアで生まれた占星術がある。ギリシャ世界に流入し、プトレマイオスという巨人を通してヨーロッパに広まった占星術は、いかなる道をたどり、発展してきたのか?壮大な歴史絵巻!
目次
1 カルデアの知恵
2 ギリシャ人の科学
3 ホロスコープの技術
4 「占星社会」ローマ
5 ルネサンスの大論争
6 近代科学からの脱落
7 現代を生きる占星術
著者等紹介
中山茂[ナカヤマシゲル]
1928‐2014年。科学史家。東京大学助教授を経て、神奈川大学名誉教授。西洋のみならず日本や中国の科学・科学技術史や大学史など、広範な領域で功績を残す(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
デビっちん
22
新聞や雑誌、早朝のTV番組でおなじみの占星術について成立から変遷、その歴史についてシンプルかつ丁寧に解説されている印象でした。怪しい感じのする占星術ですが、その成り立ちは科学として始まり、近代になってからその世界から追放されたことがわかりました。かつては医学と占星術が比較され、前者は進歩して科学に、後者は科学から脱落した。という一文を読んで、今科学的でないことも、月日が経てば科学になることがわかります。つまり、現代科学が追いついてないってだけなこともこの世にあるってことですねー。2020/02/06
デビっちん
14
再読。あるキーワードを切り口に歴史を見ていくと面白いです。「砂糖」、「コーヒー」、「紅茶」しかり、「占星術」もしかりです。2021/08/11
たっきー
6
1992年初出。買ってすぐに読みかけて中断→積読になっていたもの。改めて読み直し。サブタイトルの「科学と魔術のあいだ」が良い。2021/07/07
kanaoka 57
4
イタリア・パドヴァのラジョーネ宮を訪れた際、そこに壮大なスケールで描かれたフレスコ画(横道十二宮の星座、その星に生まれ、束縛される人々が寓話的に描かれています)を見て、ルネサンス期における占星術の社会的影響の強さを思い知ました。 占星術とはどのような内容か、なぜ人々が惹かれたのか、どのように社会に影響を与えてきたのか等々、本質的なところが、平易に解説されており、世界史的な視野と絡めて、大変面白い内容になっています。2023/01/27
れうしあ
4
占星術はバビロニアで生まれた。人が天に関心を持つようになると、地上の歴史は天の神話となり、天の現象は神々の意志と考えられた。当初の占いは天の変事を災厄の前兆と捉える天変占星術であったが、天文学が発達すると個人の宿命を占う宿命占星術が主流になった。やがてギリシャに技術移転し、黄道十二宮上の七つの天体の位置によって占うホロスコープ占星術が生み出される。世の中の全てを占うために天地相関が確立された。ローマ時代には占星術が重用されたが、キリスト教に取って代わられる。2021/08/08