講談社ラノベ文庫<br> 異世界誕生2006

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講談社ラノベ文庫
異世界誕生2006

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  • サイズ 文庫判/ページ数 295p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784065170021
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

出版社内容情報

「なにせクソ・オブ・ザ・クソだからな。まずジャンルが悪い。今どきファンタジー小説なんてあり得ないだろ」

2006年、春。小学六年の嶋田チカは、昨年トラックにはねられて死んだ兄・タカシの分まで夕飯を用意する母のフミエにうんざりしていた。たいていのことは我慢できたチカだが、最近始まった母の趣味には心底困っている。
フミエはPCをたどたどしく操作し、タカシの遺したプロットを元に小説を書いていた。タカシが異世界に転生し、現世での知識を武器に魔王に立ち向かうファンタジー小説だ。
執筆をやめさせたいチカは、兄をはねた元運転手の片山に相談する。しかし片山はフミエの小説に魅了され、チカにある提案をする――。

どことなく空虚な時代、しかし、熱い時代。混沌極めるネットの海に、愛が、罪が、想いが寄り集まって、“異世界”が産声を上げる。

内容説明

2006年、春。小学六年の嶋田チカは、前年トラックにはねられて死んだ兄・タカシの分まで夕飯を用意する母のフミエにうんざりしていた。たいていのことは我慢できたチカだが、最近始まった母の趣味には心底困っている。フミエはPCをたどたどしく操作し、タカシの遺したプロットを元に小説を書いていた。タカシが異世界に転生し、現世での知識を武器に魔王に立ち向かうファンタジー小説だ。執筆をやめさせたいチカは、兄をはねた元運転手の片山に相談する。しかし片山はフミエの小説に魅了され、チカにある提案をする―。どことなく空虚な時代、しかし、熱い時代。混沌を極めるネットの海に、愛が、罪が、想いが寄り集まって、“異世界”が産声を上げる。

著者等紹介

伊藤ヒロ[イトウヒロ]
ライトノベルにゲームにアニメと、マルチに活躍中の作家兼シナリオライター(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

papako

70
朝日新聞土曜日の夕刊の紹介を読んで、気になって。トラックとの交通事故で息子を亡くした母親が、息子を主人公にした異世界ものの小説を書くという、なんとも辛い設定。ただのイタい母親の現実逃避かと思っていたら、そこには子供を亡くした親の罪、後悔、罪悪感などあらゆる感情が綯い交ぜになった気持ちがあった。小学生の妹チカの無力感、加害者の片山の想い。読んでいると辛くて息苦しい。ただ母親が現実を受け入れて、小説を完結させてくれて、こちらも救われた。勢いで読んでよかった。なかなかすごい本だった。続編ってどうなるのかしら?2019/10/07

よっち

44
2006年、春。トラックにはねられて死んだ息子・タカシの遺したプロットを元にファンタジー小説を書きだした母・フミエ。そんな状況にうんざりするタカシの妹・チカが、タカシをはねた運転手・片山に相談する物語。片山が提案し、タカシの死から止まったままの時間を少しずつ動かし始めたウェブ小説の連載。ウェブ小説の扱いや公開したことで直面した悪意の数々や当時の時代感を懐かしいなと感じましたけど、一方でそれをきっかけに様々な思惑を持った人たちとの関わりが生まれて、それが停滞していた状況を変えてゆく展開が印象的な物語でした。2019/10/28

星野流人

39
トラックに轢かれこの世を去った息子のタカシを、『異世界に行った』という設定で小説を書く母親の物語。異世界転生ネタのド定番な設定の背景に、この世に残された遺族や加害者たちの苦悩を強烈に描いています。それだけに留まらず、タカシの死の隠された事実や、フミエの小説を取り巻く環境など、次々状況が移り変わっていく展開のおもしろさもありました。現代日本が舞台なのに、本当に波乱万丈の異世界ファンタジーを読んだかのような読後感です。読み終えてから振り返ると、口絵で騎士シャルナの谷間がガッツリ描かれてるの、趣深い……2023/01/08

活字スキー

29
【息子へ。母です。あなたが異世界に行ってから、もうずいぶん経ちました。今も冒険の途中ですか?それとも、もう魔王を倒して楽しくハーレムを作っているのでしょうか?師匠気取りのロリババアに振り回されていないか心配です。正妻ヒロインとも仲良くしてあげてください。車にも気をつけて】伊藤ヒロさん初読み。ここのところ、そう積極的にはラノベを読んではいないのだが、複数ヵ所で話題になっていたので読んでみた。「たかがラノベ」と侮るなかれ、これは「物語」の物語。 2019/11/05

いちろく

28
紹介していただいた本。確かに異世界系の作品に対するアンチテーゼでもある。でも、それだけではない。息子を交通事故で亡くした母親が、異世界で活躍する息子を描く所から物語が動く内容。異世界系というコトバが無かった時代を舞台に、異世界系に対する一つの回答を提示している作品。読者の立場で「10年代」の終わりに「ゼロ年代」を俯瞰的に意識させられる展開が面白い。そして「10年代」の終わりの今、異世界系がジャンルの一つとして生き残っている事もスパイスになっている。あえてラノベでこの作品を刊行するのも良い意味での皮肉か? 2019/12/12

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