出版社内容情報
奇妙な文様が刻まれている魔偶――土偶の骨董――は、所有する者に福と禍をもたらすという……。
大学を卒業して三年目の春を迎えた刀城言耶は、その話を聞いて旧家の屋敷を訪れた。
そこには魔偶に興味を持った者たちがすでに集っていた。
表題作の他、『妖服の如き切るもの』『巫死の如き甦るもの』『獣家の如き吸うもの』を収録した中短篇集。
内容説明
奇妙な文様が刻まれている魔偶―土偶の骨董―は、所有する者に「福」と「禍」を齎すという…。大学を卒業して3年目の春を迎えた刀城言耶は、その話を聞いて旧家の屋敷を訪れた。そこには魔偶に興味を持った者たちがすでに集っていた。表題作の他、『妖服の如き切るもの』『巫死の如き甦るもの』『獣家の如き吸うもの』を収録した中短篇集。
著者等紹介
三津田信三[ミツダシンゾウ]
奈良県出身。編集者を経て2001年『ホラー作家の棲む家』(文庫で『忌館』と改題)で作家デビュー。ホラーとミステリを融合させた独自の世界観で人気を得る。『厭魅の如き憑くもの』にはじまる刀城言耶シリーズの長編第5作『水魑の如き沈むもの』で、2010年に第10回本格ミステリ大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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starbro
213
三津田 信三は、新作中心に読んでいる作家です。刀城言耶シリーズは、2作目です。まずはタイトルの「齎(もたら)す」が読めない(苦笑)本書は、連作中・短編集、オススメは、登場人物の設定が面白い『妖服の如き切るもの』です。2019/07/28
しんたろー
183
刀城言耶が活躍する3つ短編と表題作の中編。三津田さんの刀城シリーズは長くて厚いのが難点だが、本作は簡潔なので読み易い。それでいて売り物の「怪奇」は程好く効いていて「推理」も論理がキチンとしていてキレが良い(人名地名が特殊で覚え辛いのは相変わらず…苦笑)。短編の中では『巫死の如き…』が悍ましい真相に唖然としたし『獣家の如き…』は綾辻さんの『館シリーズ』を思い出した。犯人当てを楽しむ表題作は、本作3短編やシリーズとリンクしつつ、二転三転してファンを楽します手腕に感心した。休憩していたシリーズ挑戦を再開したい♬2020/10/22
ちょろこ
140
中短編集も良かった、一冊。いきなり一話目の「妖服の如き切るもの」の二重殺人事件の血生臭さとラストの気持ち悪さがたまらない。二話目の「巫死の如き甦るもの」の不可解な人間消失事件。想像を絶する推理に血の気が引く。そして若き刀城言耶が祖父江偲とご対面した表題作がしてやられた感いっぱいで一番良かった。このシリーズお約束の二転三転、最後までどう転がされるのか…何回も推理に目を見張り、最後は目がテン。なるほど〜!長編よりも頭が混乱せず、伏線回収もすぐにできて楽しめる中短編集も良いな。2020/09/13
のぶ
103
刀城言耶シリーズの4つの作品を収めた中短編集。冒頭からの3作は三津田作品のおどろおどろしさを良く出しているものの、いずれも60ページ程度の長さしかなく、話が分かり難い。最後の表題作は面白かった。奇妙な文様が刻まれている魔偶と呼ばれる土偶をめぐる事件。それは所有する者に福と禍をもたらすという。卍堂と呼ばれる館でその事件が起こるが、何度も繰り返されるどんでん返しに最後は刀城言耶が解決する。戦後の退廃した空気も漂っていて、これを読めただけでも良かった。本当は長編を期待しているのですが・・。2019/07/26
さつき
79
久しぶりの刀城言耶シリーズ。ホラーともミステリともどちらにもとれるこの世界観が好きです。短編4篇が収録されていますが、一番怖かったのは『妖服の如き切るもの』かな。長編も読み返したくなりました。2020/10/30