出版社内容情報
貴妃は本当に悪女だったのか。名君はなぜ堕落したのか。中国史書や詩歌など豊富な学術資料から、世界三大美女の「真の姿」を探る!
内容説明
唐六代目皇帝、玄宗(七一二‐七五六在位)。一〇〇万都市を築いた名君は、56歳のとき22歳の楊玉環(のちの楊貴妃)と出会う―。唐王朝、激変の百余年を、『旧唐書』『新唐書』『開元天宝遺事』などの文献から、白居易の「長恨歌」、杜甫の詩歌まで、豊富な資料で検証。清少納言、紫式部をも魅了した“世紀の美女”の生涯を、歴史とともに丁寧に読み解く!
目次
第1章 玄宗とその時代
第2章 玉環から楊太真へ
第3章 楊貴妃の栄華
第4章 天下大乱
第5章 玄宗蜀幸
第6章 長恨歌の世界
第7章 余聞・遺事
第8章 楊貴妃と文学
著者等紹介
村山吉廣[ムラヤマヨシヒロ]
1929年埼玉県生まれ。早稲田大学文学部卒、大学院修了。文学部教授を経て、早稲田大学名誉教授。中国古典学(とくに詩経学)、江戸明治漢学専攻。現在、日本詩経学会会長、日本中国学会顧問(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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しゅてふぁん
53
楊貴妃といえば‘世界三大美女’くらいの知識しかなくて、きっと悪女だ!と思っていたら読後には印象が全く変わった。確かに皇帝を堕落させたけれど、名君と言われるおじさん(56歳)に17歳で嫁がされて、諫めることが出来ようか。最終的には親族に足を引っ張られた彼女は被害者、なのかな。だから『長恨歌』や『長恨歌伝』のような美しくも悲しい作品が語り継がれているのかもしれない。玄宗の即位前から晩年の唐について、様々な文献や文学作品、白居易・杜甫などの漢詩と共に解説されているので、文学作品鑑賞のお供としてもおススメの一冊。2021/05/05
さとうしん
7
楊貴妃の生涯は割とあっさりめで、当時の文化的・歴史的背景が読みどころ。後世に作られた関連の伝説や文学作品についてかなり紙幅を割いているのも特徴。2019/07/05
見もの・読みもの日記
5
楊貴妃と玄宗の物語を追いながら、この時代の歴史・文化・生活を紹介する。玄宗は若い頃、強い女性たちと激しい権力闘争を経験しているので、あまり欲のない楊貴妃みたいな女性に惹かれたのではないかと思う。60歳近くなると、そろそろ私生活に逃避したくなる気持ちも分かる。2019/08/27
ず〜みん
4
類い稀な美しい容姿と年の差のある玄宗皇帝から亡くなる直前まで一途に寵愛されていた楊貴妃。伝承や後世の創作が多い中、彼女が生きていた同時代やそのすぐ後の時代に書かれた詩や后妃伝を基に研究者が丁寧な解説をしている本。2024/02/24
若黎
3
韋后と太平公主を倒して颯爽と現れた若き日の玄宗と、楊貴妃との生活に耽溺していった晩年の玄宗。 最後は側近とも離され、孤独のうちに崩御した英主の晩年がもの悲しい。 則天武后について読んでいなければ、玄宗の落差にも気づかなかったのだなぁ。2019/06/09