内容説明
住専マネーに群がった怪商、借金王、ヤクザと、取り立てに奔走した「奪り駒」たちの、いまにつづく20年戦争。「トッカイ(特別回収部)」と呼ばれた人々の戦いの記録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
鉄之助
197
一時期「いちばん総理にしたい人」と言われた中坊公平氏が、なぜ弁護士廃業に追い込まれたのか? を知りたくて読んでみた。が、その部分は3ページしかなく拍子抜け。それでも、「バブルの怪人を追いつめた男たち」=不良債権 特別回収部 「トッカイ」の男たちのドキュメントは知らないことだらけで刺激的だった。何よりも、20年間に10兆円もの借金を取り立て、今もなお活動を続けていることにびっくり! 著者の清武英利氏そのものも、巨人軍・球団代表を突然解任され、作家に転身した人だけに、「外れ者」に肉薄する物語に興奮した。2019/08/14
ぶ~よん
80
バブル崩壊後、住専こと住宅金融専門会社7社は、巨額の損失を負った。橋本龍太郎政権は「住宅金融債権管理機構」を設立し、不良債権の回収を目指した。住専や大手銀行だけでなく、警察出身者等の寄せ集めの社員達が、中坊社長を中心に債務者達に立ち向かってゆく。WOWOWドラマ視聴済みだったが、原作はよりドキュメンタリーに近い印象。「浪速の借金王」末野謙一、「怪商」西山正彦など債務者の資産隠しと、それを暴く機構との戦いがハイレベル過ぎて、付いていくのが難しかった。でも、彼らの戦いの過程を後世に伝えるのは重要だ。2025/01/19
TATA
44
バブル後の精算の為に奔走する男達。求めるのは不動産の闇の中に溶け込んだ巨額の資金。大手金融機関も破綻し時代が目まぐるしく変化する中で正義感から過酷な業務に立ち向かう。山一破綻を扱った「しんがり」もそうだったけど、清武さんは保守本流から外れた人間のドラマを描くのがお得意。最後の海外を飛び回って債務者を追い込むところは素直に胸が熱くなりました。「住専」という単語ももはや過去の言葉かと少し懐かしむ。2020/03/24
楽駿
37
品川図書館本。ドラマにて、清武氏の新刊が出ていたことに遅ればせながら気がついた。住専問題、国民の税金が多額に使われたが、いろいろハッキリしないまま、なぜ、銀行だけを救済するのか、引っかかっていた部分が、かなり見える形にされている。金融関係の表と裏をノンフィクションで追いかけたら、清武氏の右に出る人はいないのでは?今また、銀行再編に向かっている時期だからこそ、かつての失敗とその回収劇は、先を見据える為にも必要なんではないだろうか?そして、今もバブル時の回収は続いている事に驚いた。もっと誰もが知って良い事。 2021/02/15
かおり
36
とにかく読んでいるだけで疲れました。本当に大変な仕事だったんだなぁと。でも···少し羨ましかったりして。私も別なことで使命感を持って頑張らなくては!(途中で私のよく知る方の名前が出てきて「スゴい人だったんだ😲」と。知らないって怖い((( ;゚Д゚)))2020/01/15