出版社内容情報
マルキ・ド・サド(1740-1814年)は、由緒ある貴族の家に生まれた。1755年には将校に任命され、七年戦争に従軍したが、賭博狂いと娼婦通いが始まる。女性を監禁・拷問した「アルクイユ事件」(1768年)、娼婦を相手にソドミーや毒薬を盛ったとされる「マルセイユ事件」(1772年)などのスキャンダルを起こし、以降、入獄と脱獄を繰り返したサドは、人生の三分の一以上を監獄の中で過ごした。フランス革命によって釈放されたあと、『ジュスティーヌあるいは美徳の不幸』(1791年)を匿名で刊行。その後、『アリーヌとヴァルクール』(1795年)、本書『閨房の哲学』(同年)、『新ジュスティーヌあるいは美徳の不幸』(1797年)、『ジュリエット物語あるいは悪徳の栄え』(1797年)、『恋の罪』(1800年)と、精力的に執筆を続けたものの、シャラントンの精神病院でその生涯を終えた。
20世紀になってようやく本格的に読まれるようになり、アポリネール、ブルトン、バタイユ、クロソウスキー、ブランショといった人々から高い評価を受けたサド作品の最初の一冊として、本書『閨房の哲学』は絶好の作品だと言える。少女ウージェニー、サン・タンジュ夫人、ドルマンセの三人を中心に進められる物語は、会話や議論を行うシーンとその実践としての乱交のシーンが交互に繰り広げられ、その展開の中から独自の反革命思想が立ち上がってくる。とりわけ、その政治思想が開陳されるパンフレット「フランス人よ、共和主義者になりたいなら、もうひとがんばりだ」は圧巻である。その他、テンポのよい展開、時にコミカルな雰囲気を帯びる会話の妙、比較的マイルドな内容、そしてサド哲学のエッセンスをまとめた明瞭さなど、優れた点を多くもつ。
本書は、第一人者が初めてサド作品の翻訳を手がけた一冊である。広く読まれたものの今日では問題があると言わざるをえない澁澤龍彦訳で知られる本作品の真の姿を文庫版の新訳で味わうとき、サドという作家、そしてサドという思想家の底知れぬ可能性が浮かび上がってくる。
内容説明
由緒ある貴族の家に生まれたマルキ・ド・サド(一七四〇‐一八一四年)は、数々のスキャンダルで入獄と脱獄を繰り返し、人生の三分の一以上を獄中で過ごした。次々に発表された過激な作品群のうち、本書は特に読みやすい内容をもつ上、サド哲学のエッセンスが盛り込まれている。第一級の研究者がついに手がけた「最初の一冊」に最適の決定版新訳!
著者等紹介
サド,マルキ・ド[サド,マルキド] [Sade,Marquis de]
1740‐1814年。フランスの作家。数々のスキャンダルで生涯の三分の一を獄中で過ごしつつ執筆活動を展開した
秋吉良人[アキヨシヨシト]
1961年生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。専門は、フランス文学・思想、精神分析(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ケイ
Freak Zappa(アレクセイカラマーゾフという名で音楽活動してたよ)
刳森伸一
月と星
毒モナカジャンボ