出版社内容情報
塩田 武士[シオタ タケシ]
著・文・その他
内容説明
京都でテーラーを営む曽根俊也。自宅で見つけた古いカセットテープを再生すると、幼いころの自分の声が。それは日本を震撼させた脅迫事件に使われた男児の声と、まったく同じものだった。一方、大日新聞の記者、阿久津英士も、この未解決事件を追い始め―。圧倒的リアリティで衝撃の「真実」を捉えた傑作。
著者等紹介
塩田武士[シオタタケシ]
1979年兵庫県生まれ。関西学院大学卒業後、神戸新聞社に勤務。2010年『盤上のアルファ』で第5回小説現代長編新人賞、’11年、将棋ペンクラブ大賞を受賞。’12年、神戸新聞社を退社。’16年、『罪の声』で第7回山田風太郎賞を受賞。同書は「週刊文春ミステリーベスト10」第1位、第14回本屋大賞第3位にも選ばれた。’19年、『歪んだ波紋』(講談社)で第40回吉川英治文学新人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 3件/全3件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
1087
塩田武士は初読。本書は1984年~85年にかけて起きた「グリコ森永事件」の資料を駆使して、あり得たかもしれない事件の真相、あるいは犯人像を描き出そうとする試み。文章・文体はけっして練達したものとは言えないが、真摯に向かい合う姿勢は好感も持てるし、また成功をもたらしてもいるだろう。構成上も工夫が凝らされており、例えばプロローグの置き方や、当事者(かも知れない)の甥と新聞記者の2方向から事件の解明に向かう手法などは他にあまり類を見ないもの。そして、何よりもいいのはその視点の暖かさと、他者への信頼とである。2020/05/03
ehirano1
674
最終ページに著者から本書は「子供を巻き込んだ事件なんだ」という強い思いがあったと述べられていました。本書はその強い思いがビシビシと伝わって来て、終章辺りはもう涙無しではいられませんでした。一方で、社の企画とはいえこういったビハインドストリーに果敢に挑み、隠された悲劇を放置しない漢達がいたことを小説の中であっても大変嬉しく思いました。その意味で、阿久津が本件の担当になったのは必然だったのかも、そしてこのビハインドストリーに阿久津の上司は薄々気付いていたのでは(だからこそ阿久津を選んだ?!)、と思いました。2023/12/10
ミカママ
666
昭和のアイコンである未解決事件の真相を、フィクション仕立てにした作品。新聞記者と、犯人側の身内が二本立てで追うという視点と、犯人の目的の多様性が、残念ながら読み疲れを起こさせる。関西弁で飄々と進む構成は好き。ことに新聞記者の鳥居がいい。こういう頭も会話もキレッキレな男子、クラスに一人はいるんだよな(笑)事件の内容はほぼうろ覚えだが、阪神の優勝は覚えてる。当時の彼がファンだったので。2020/03/12
白いワンコ
537
昭和の大企業恐喝事件をモチーフにしたフィクション小説。いくつか偶然が重なったとはいえ、未解決事件がここまで鮮やかに甦る様に違和感を覚えるが、本来の姿が明快に示されるという点で不快ではない。そして来年の映画化が決定しているそうです。このボリュームをそのまま再現するのは難しいでしょう2019/06/19
しげき
529
グリコ森永事件をモチーフにした小説。2人の主人公がそれぞれの立場から未解決事件の真犯人に迫っていく話。とてもフィクションとは思えないくらいリアリティのある作品だった。 これが原作で小栗旬と星野源で映画化・・面白いに決まってる!2020/05/17
-
- 和書
- あやつり人形ピッパ