出版社内容情報
ライト兄弟やリンドバーグらが担ったアメリカの「空の文化」は、やがて「空爆」の悪夢を生み、ヴェトナム戦争から9.11に向かう。講談社創業100周年記念企画「興亡の世界史」の学術文庫版。大好評、第4期の5冊目。
古代ローマやモンゴルによる「陸の帝国」や、大英帝国をはじめとする「海の帝国」が興亡を繰り返し、ついに人類は「空の覇権」を争うに至った。現在最強の空軍力を誇る「帝国」が、アメリカ合衆国である。しかしもともとアメリカは、軽装の常備軍兵力しか持たず、その「空の文化」はもっぱらライト兄弟やリンドバーグに代表される「庶民」が担ったものだった。それがいつの間に現在のような「空の軍事大国」と化したのだろうか。本書では、1903年のライト兄弟による有人動力飛行成功から、9.11事件に至る1世紀を、著者独自の社会史的・文化史的視点で見つめ直す。
空から爆弾の雨を降らせ、街ごと焦土と化す――。「空爆」そして「原爆投下」は、20世紀の人類が初めて体験した惨劇である。この悪夢を生んだ20世紀は「戦争の世紀」であると同時に「アメリカの世紀」でもあった。飛行機械に夢を託した「マシーン・エイジ」、「真珠湾」をめぐる巧みなプロパガンダ、ヴェトナム戦争で殉職した女性カメラマンや、「9.11」の社会的トラウマなど、さまざまな素材からアメリカの「空と戦争の文化」を描き出す。
文庫化にあたり、「補章」として、ドローンにおおわれた「21世紀の空」を大幅に加筆。
[原本:『興亡の世界史19 空の帝国 アメリカの20世紀』講談社 2006年11月刊]
生井 英考[イクイ エイコウ]
著・文・その他
内容説明
一九〇三年、ついに人類は「飛行の夢」を実現し、「空の覇権」を争い始めた。貧弱な常備兵力しかなかった軍事小国アメリカは、ライト兄弟やリンドバーグら庶民が担った「空の文化」の一方、やがて空爆という悪夢に取り憑かれ、二度の世界大戦、ヴェトナム戦争を経て、9・11へと向かう。ドローンに象徴される二一世紀の空を、「補章」として大幅に加筆。戦争と「空の文化」の100年史。
目次
第1章 ある日、キティホークで
第2章 ダロウェイ夫人の飛行機雲
第3章 翼の福音
第4章 ドゥーエ将軍の遺産
第5章 銀翼つらねて
第6章 将軍たちの夜
第7章 アメリカン・ライフと世界の旅
第8章 冷戦の空の下
第9章 幻影の戦場
第10章 憂鬱な真実
補章 キティホークを遠く離れて
著者等紹介
生井英考[イクイエイコウ]
1954年生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。共立女子大学教授などを経て、立教大学社会学部教授。専門は視覚文化論、アメリカ研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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