出版社内容情報
「殺されるとわかっていても、君命である以上、避くべきところはない」――吉田松陰、橋本景岳ら志士に忠君の精神を刻んだ魂の書。「この書を獄中、声をあげて誦読し、傍らに人なきがごとくであった――」
吉田松陰がこう語ったとされる「靖献遺言」は、諸葛孔明、顔真卿ら中国の忠孝義烈8人の遺文や伝記を記した思想書である。「君の御為には一身を捧げ奉らねば」と大義のために身を捨てる思想を、忠臣達の具体的な事蹟により説く。成立は貞享四年(1687)、山崎闇斎門下の儒学者・浅見絅斎の手になる。幕末には松陰のほか橋本景岳、梅田雲浜らに強く影響し、尊攘思想を掲げて維新へと突っ走る志士必読の「教科書」となった。その後も大日本帝国において広く深く読み継がれたが、敗戦を機にその思想故遠ざけられ、半ば忘れられた存在となってゆく。
現代において崎門学正統派を継ぐ近藤啓吾が、その現代語訳と語釈、さらに成立の背景、特色、絅斎の評伝を加えて纏めた近藤著『靖献遺言講義』は、「靖献遺言」理解に欠かせない決定版として君臨している。本書は、皇學館大学の松本丘が現代の読者に向け、再編集を施したものである。
(原本:近藤啓吾『靖献遺言講義』国書刊行会、1987年)
浅見 絅斎[アサミ ケイサイ]
著・文・その他
近藤 啓吾[コンドウ ケイゴ]
著・文・その他
内容説明
山崎闇斎学派の朱子学者・浅見絅斎は、貞享四年(一六八七)、諸葛亮、文天祥ら中国の忠臣義士八人の遺文と評論をまとめて『靖献遺言』として編纂。道義に拠って屈せず、君命とあらば命も惜しまぬ強烈な在り方を伝え、とりわけ吉田松陰、橋本景岳ら勤皇志士の思想形成に多大な影響を与えた。現代語訳と解説を付した、深く理解するために最適の書。
目次
巻の1 屈平
巻の2 諸葛亮
巻の3 陶潜
巻の4 顔真卿
巻の5 文天祥
巻の6 謝枋得
巻の7 劉因
巻の8 方孝孺
著者等紹介
浅見絅斎[アサミケイサイ]
1652~1712。江戸時代の儒学者。名は安生、通称は重次郎。近江の人。山崎闇斎に師事し、生涯仕えず、京都にて講学に努めた
近藤啓吾[コンドウケイゴ]
1921年生、静岡県出身。大東文化学院高等科卒業。金沢工業大学教授等を歴任。2017年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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