出版社内容情報
オートポイエーシスという閉じた系の身体から、どうして意識が、さらに一続きの反復として「私」がどのように立ち上がってくるのか。私の身体と私の意識。身体の生はオートポイエーシスという閉じた系であるのに、意識はそのつどの神経ネットワークを物質的基盤としつつも「私」が立ち上がるに際しては外部へと連結する開口部を持たなければならないという矛盾。脳科学研究が「意識」の物質への還元を方向付けるなか、20世紀初めにはベルクソンが反駁の理論を打ち立てた。
意識という現象はいったい何なのか。脳の働きとの関係はどうなっているのか。それは「私」という一続きの事態をどう成立させているのか。
精神病理学者である著者が、さまざまな症例を引き、ベルクソン・ドゥルーズの理論を参照しながら、「私」の立ち上がる現場を突き詰めていく。
兼本 浩祐[カネモト コウスケ]
著・文・その他
内容説明
私が確固として同一であるという信念はどこから来るのか。脳の生物的デフォルトから同一性は導かれないのではないか。意識という機構が「外」を表象として立ち上がらせるとき、その都度の表象という出来事が反復されるとき、影絵のように浮かび上がってくる「私」。表象とは何か、それは私の一貫性とどう繋がってくるのか。ベルクソンの記憶・縮約、ドゥルーズの差異・反復などの概念、また精神科症例を参照し精神病理学者が「私性」の謎に迫る。
目次
第1章 同じものが同じになる時、同じでなくなる時
第2章 「私」が成立する脳的条件
第3章 物来りて我を照らす
第4章 面前他者を了解すること―精神病理学の営み
第5章 ベルクソンと脳科学
第6章 普遍論争を再考する―馬性は馬性以外の何ものでもない
第7章 行為としての臨床哲学
付録 脳内散策のための小マップ
著者等紹介
兼本浩祐[カネモトコウスケ]
1957年生まれ。京都大学医学部卒業。現在、愛知医科大学医学部精神科学講座教授。専門は精神病理学、神経心理学、臨床てんかん学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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