出版社内容情報
野望と陰謀が交錯する満州・新京。東洋一の映画の都に出来た映画撮影所で不可思議な事件が多発する。著者渾身の世界水準サスペンス!満州映画協会、通称“満映”を舞台に柳広司が書き下ろす世界水準エンターテインメント!
脚本家志望の若者・朝比奈英一は、制約だらけの日本から海を渡り、満州映画協会の扉を叩く。だが提出するメロドラマはすべて、ドイツ帰りの若き女性監督・桐谷サカエから「この満州では使い物にならない」とボツの繰り返し。彼女の指示で現地スタッフの陳文と二人で、探偵映画の脚本を練り始めるのだが……。
――『楽園の蝶』を改題、大幅加筆した決定版!
柳 広司[ヤナキ ゙コウジ]
著・文・その他
内容説明
野望と陰謀が交錯する満州の人工都市新京。この映画の都は「幻影城市」と呼ばれた。若き脚本家志望の英一は日本を追われ、満州映画協会の扉を叩く。理事長甘粕正彦、七三一部隊長の石井四郎、無政府主義者、抗日スパイら怪人が闊歩する中、不可思議な事件が続発する―。『楽園の蝶』を改題、改稿した決定版。
著者等紹介
柳広司[ヤナギコウジ]
1967年生まれ。2001年『黄金の灰』でデビュー。同年『贋作「坊っちゃん」殺人事件』で第12回朝日新人文学賞を受賞。’09年『ジョーカー・ゲーム』で第30回吉川英治文学新人賞と第62回日本推理作家協会賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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- 評価
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
96
戦時中の満州を舞台に映画作成にはげむ女性の監督や脚本家などが出てきて、柳ワールド全開のような感じがします。私はこのような歴史的に実在した人物などが出てきている作品が好きです。甘粕四郎、石井四郎が中心ですが、以前読んだコミックを思い出してしまいました。エンターテイメントとしては楽しめました。船戸与一さんの満州国シリーズも好きですがこの作品も好きです。2018/12/12
あも
93
時は第一次大戦前。良い大学入ったのに退学して就職できず、小説家や脚本家ならワンチャンあんじゃね?…な昔もいたんですね現代社会の闇・典型的ワナビーニート。でも彼には親のコネがあった!!満州国に作られた国営の映画製作所に潜り込んだ彼は、美人映画監督の組に入り、中国人の見習いと仲良くなり、意外な頭の回転の早さを発揮し撮影現場を悩ます幽霊騒動を調べ始める…が、理事長の甘粕正彦や731部隊の石井四郎ら実在の人物も登場し満州の闇を知る事に…。史実とミステリの融合は非常に巧みだが印象に残りにくい。つまりよくある柳作品。2019/07/18
Junichi Yamaguchi
41
『犠牲の山羊』… 欺瞞、幻、嘘。 光で照らしすぎないことで、映える街。 少し、スパイの影を探してしまった僕にも落ち度はあるが、多少なりとも肩透かし感が否めず。 しかし、世界感と漂う空気感は流石で没頭しての読了。。2018/11/19
Walhalla
30
1942年、満洲映画協会を舞台にした物語です。作品内では『伝統も因習も存在しない新しい国"満州"』と表現されていたのが印象的です。この特殊な土地の、さらに裏の社会で行われるスケールの大きな計略は、危険な香りと妖しい雰囲気が漂い、柳広司さんの作品らしさがいっぱい出ていましたね。実在の人物が数々登場していたようですが、お恥ずかしながら全く存じ上げておらず、読後に自分なりに色々調べて知識を補いました。2024/07/10
しーふぉ
17
起承転結の結がない感じ。教科書では関東大震災の時に無政府主義の大杉栄、伊藤野枝を惨殺したと書かれる甘粕正彦。当時悪名高くなったのはその際に6歳の少年も惨殺しているからというのは初耳。部下の罪を被った?というのも初耳。詳しく知りたくなりました。2023/05/06