出版社内容情報
大震災、大津波、原発事故。国家存亡の危機のなか、ハゲタカ・鷲津は、首都電力の株を買い占める。最大最強の標的は落とせるか。2009年、ハゲタカと呼ばれた世界的な企業買収者・鷲津政彦は、原子力発電所を建設する民営会社の株を買収に失敗。財・政・官がもつれあう、権力構造の複雑怪奇さを思い知る。その2年後。リベンジを賭け、総本山「首都電力」に買収を仕掛けようとした矢先の2011年3月。東北を未曾有の地震、津波、最悪の原発事故が襲う。
真山 仁[マヤマ ジン]
著・文・その他
内容説明
電力事業ほど儲かるビジネスはない―。国から特別待遇を与えられ、「絶対に損をしない」収益構造を持つ電力業界に狙いを定めた鷲津の前に立ちはだかるのは、日本経済構造の暗部に蠢く権力。それでも、総本山「首都電力」に買収を仕掛けようとした矢先の2011年3月。東北を未曾有の地震、津波、原発事故が襲う。まさに国家存亡の危機。ハゲタカはどう動くか?
著者等紹介
真山仁[マヤマジン]
1962年大阪府生まれ。同志社大学法学部政治学科卒業。新聞記者、フリーライターを経て、2004年、熾烈な企業買収の世界を赤裸々に描いた『ハゲタカ』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
397
5年ぶりの新作。現実と同程度のスピードで物語内の時間も進んでいるので、鷲津もリンも、いい年齢になっている。だからあまりイチャイチャしない。上巻は企業買収の側面があまり動かず、震災発生前後の各方面の動向に多くの頁が割かれており、それだけでもかなり面白い。さすが『ベイジン』著者。政府/首都電サイドの狂騒は、リアルで当時を知らないと、少し戯画的に感じるかもしれないが、そこに「もしかしたら…」という肌寒さを感じさせてしまうのは、このシリーズの強み。過去作のキャラも多く登場するオールスター状態で、下巻が楽しみ。2018/08/23
starbro
204
真山 仁は、新作中心に読んでいる作家です。3年ぶりのハゲタカシリーズ、今回は壮大なスケール、ハゲタカ×3.11×東●電力でした。3.11から7年経過しているので、安心して上巻一気読み、続いて下巻へ。トータルの感想は下巻読了後に。2018/09/19
Yunemo
74
状況設定は3.11と電力、これを踏まえてのリアルな巨大買収への道筋、役者も出そろいました。著者独自の3.11論と企業買収を融合させた作品、著者にしか描けない世界。上巻で表現されるリアルな実態、これはこれで3.11の著者3作品目という考え方もできる詳細さ。電力会社と政府との迷走の様子が改めて思い出されます。その果てに何があるのかは下巻の楽しみとなりますが、ちょっと食傷気味だったハゲタカシリーズが新鮮な感覚でよみがえった感。どの人物にどの様な役割を担わせて展開するのか、本来のハゲタカの動きに期待感が募ります。2018/09/09
クリママ
46
ハゲタカシリーズ第5弾。原発を見据え、日本の電力会社、日本電力の買収を試みるが電力界の大物に阻まれ撤退。次に首都電力会社に狙いを定めた矢先に東北の大地震。津波により原発事故が発生。以前、事故のノンフィクションを読んだが、それを集約したような描写に、官邸の様子も加え、読み応えがある。が、まだ鷲津の戦略が見えない。下巻に期待。2021/01/20
おさむ
45
新幹線の車内で、ハゲタカ新作(といっても昨年の発刊だが)を一気読み。今回は3.11の原発事故をモチーフに、鷲津が首都電力(モデルは東京電力)を狙う。いつものファンドのメンバー達や過去のシリーズの登場人物達もそろい踏みで、ファンには堪らない。ある意味、原発事故に限っては2011年に起きた現実の方が凄すぎたので、果たして小説でどこまで面白く出来るのか、不安だったが、さすが真山仁。スピード感で読ませてくれます。ノンフィクションか、フィクションか。どちらが勝つかは下巻を読んでから判断します。2019/12/01