出版社内容情報
大江 健三郎[オオエ ケンザブロウ]
著・文・その他
内容説明
自意識、性、疎外、自由、冒険、逃避行、絶望、復讐…初期作品群(2)。レア作品3編収録!「報復する青年」(初の書籍化)、「勇敢な兵士の弟」、「孤独な青年の休暇」(入手困難)。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おたま
27
第2巻では、長編として『遅れてきた青年』を、短編として『報復する青年』『勇敢な兵士の弟』『後退青年研究所』の3作を読んだ。全体としては、前作『われらの時代』を引き継ぎ、1959~61年頃の青年の閉塞状況を捉えようと、様々な局面から描いている。『遅れてきた青年』は、第1巻の『芽むしり仔撃ち』と『われらの時代』とを、この時点において統合しようとしていたと思う。大江健三郎自身はこの作品を「失敗作」としているが、初期の大江作品のモチーフが流れ込み、縒り合されている。時代の底の底まで降りてみようとしていたようだ。 2023/02/23
ぐうぐう
25
ここにいる青年達は皆、世界に裏切られている。「共同生活」での四匹の猿に監視される青年も、「孤独な青年の休暇」における下宿の賄人の娘を妊娠させてしまった青年も、そして『遅れてきた青年』のまさしく戦争に遅れてしまった青年も、皆が皆、世界に裏切られ、絶望を抱えているのだ。しかし大江健三郎は、青年達に解放という展開を用意しつつも、実はそれこそが世界の真の裏切りであることを彼らに知らしめる。「堅固にとざされた二重窓の外で、暑い現実世界はひっそりし沈黙して光にあふれていた。(つづく)2024/11/08
riko
5
暗黒時代2023/12/12
柊詩音
4
「ここより他の場所」「共同生活」「報復する青年」「勇敢な兵士の弟」「孤独な青年の休暇」のみ読了。1巻では戦時中が舞台である作品が多かったが、2巻からは戦後の作品が増えてくる印象を受けた。「報復する青年」の部屋(=壁の中)に自ら閉じこもる心理の巧みな描き方は、さすが大江だと感じた。「共同生活」の設定が強烈でしばらく忘れられそうにない。2021/06/24
Taku Kawaguchi
2
遅れてきた青年 は面白かった2020/04/24
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