手塚治虫文庫全集 陽だまりの樹 〈６〉

手塚治虫

講談社（2012/05発売）

• サイズ 文庫判／ページ数 384p／高さ 15cm
• 商品コード 9784063738926
• NDC分類 726.1
• Cコード C0179

出版社内容情報

崩壊寸前の幕府の再建を目論む万二郎は、無能な閣老たちの暗殺を企てるが…。万二郎と、それを見つめる手塚良仙の運命を描く完結編！

手塚良仙（てづか・りょうせん）は、緒方洪庵（おがた・こうあん）のすすめで伊武谷万二郎（いぶや・まんじろう）率いる歩兵屯所付き医師になることを決意。しかし、万二郎はきわめて不条理な理由で、突然征長軍隊長を解任されてしまう。崩壊寸前の幕府をなんとか再建しようとさまざまな策略をめぐらす万二郎だったが、なかなか思うように事が運ばず、ついには無能な閣老たちの暗殺を企てるのだった。激動する幕末、時代に翻弄された万二郎と、それを見つめる手塚良仙の運命を描く青春ドラマ、完結編!!　＜手塚治虫漫画全集収録巻数＞手塚治虫漫画全集MT336『陽だまりの樹』第11巻収録　＜初出掲載＞「陽だまりの樹」　1981年4月25日号～1986年12月25日号　ビッグコミック連載/「サロメの唇」　1972年1月10日号　「ビッグコミック」掲載/「最上殿始末」1972年10月18日増刊号　「漫画サンデー」掲載/「新聊斎志異 叩建異譚」　1987年2月24日号～3月10日号　「コミックバーガー」連載

【著者紹介】
1928年、大阪府豊中市に生まれ、兵庫県宝塚市で育つ。大阪大学付属医学専門部を卒業後、医学博士号を取得。1946年、「マアチャンの日記帳」で漫画家デビュー。1962年には『ある街角の物語』でアニメーション作家としてもデビューする。おもな作品に、漫画では　『ジャングル大帝』『鉄腕アトム』その他多数、アニメーションでは『展覧会の絵』『ジャンピング』その他多数あり、全400巻の『手塚治虫漫画全集』（講談社）も刊行された。宝塚市には手塚治虫記念館がある。1989年に死去。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

[剛腕伝説]

大政奉還、江戸城開城の後、万次郎は彰義隊に参戦し最後は五稜郭で戦死した。良仙は西南戦争に軍医とし随行し赤痢に罹り大阪に移送され51才で亡くなった。手塚治虫の先祖に対するオマージュ作品であり、祖先が学んだ適塾、そして緒方洪庵へのオマージュでもあったのだろう。巻末の短編集が面白かった。〖サロメの唇〗、〖最上殿始末記〗、〖叩建て異譚〗とても、得した気分。

2022/07/05

[ホームズ]

なんとも言えない結末。彰義隊に参加する万二郎と部下たち。熱いな～。もう読みながら涙が・・・。万二郎の母親も危うい所で正気にもどってくれてよかった。手塚治虫全集の最後にこの作品を読んで良かった（笑）

2012/08/20

[KAZUNARI]

幕末が舞台の医者と武士の話。病が流行り、異国人が攻寄ってきた時代。そこに翻弄されながらも真っすぐに生きた男たちのドラマが読み応えたっぷり。手塚さんの描く西郷隆盛や緒方洪庵らも出てくる楽しさ。 併録「サロメの唇」異国の女郎と出会った男との一部始終。長崎出島に関わる切ない結末。「最上殿始末」家族を殺され影武者として生きる事を強いられた男の復讐がもうひとつの復讐を呼んでいた恐ろしい結末。「新聊斎志異　叩健異譚」中国が舞台。叩健という男が謎の女と知り合い恋に落ちるが、彼女は壮絶な復讐を企んでいた・・・

2019/06/20

[santana01]

自分なりのけじめの付け方としての彰義隊への参加。万二郎の性格とこれまでの行動を考えれば、こうなることは必然だったような気がします。結局幕府という枠組みの外へ出ることはできなかったわけですが、ある意味歴史に殉じたとも言えるのではないでしょうか。物語全体としては、やはり手塚親子を中心とした種痘所の設立までが山場だったような気がします。それ以後は歴史の中に埋没してしまう主人公たちを見るのが忍びなかったですね。歴史上の有名人たちもあまり魅力的には描かれなかったような印象を持ちました。

2014/04/11

[ふろんた]

★★★★

2019/02/14