感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
すぱちゃん
7
実話。小島清文はルソン島で小隊長として前線に送られる。食料や医薬品、まともな武器等の物資もほとんど無く、マラリアやアメーバ赤痢で衰弱した兵士達。極限状態の中、この戦争に疑問を抱いた小島は部下を連れて米軍に白旗を上げて投降した。当時は「生きて虜囚の辱めを受けず」と叩き込まれ捕虜になることはかなりの勇気がいったことだろう。投降ビラをつくることを任された小島。ビラを拾った木戸内大臣が御前会議にかけ、日本はやっと終戦を迎える。「白旗の誓い」。人間魚雷回天で特攻するはずだった横田寛は三度生き残り戦後反戦の思い強く→2020/01/07
更紗蝦
4
ルソン島で投降を決意した小隊長の話と、特攻兵器「回天」の搭乗員の話の2話が収録されています。戦争と言えば、誰もが「敵国との戦い」を想像すると思いますが、収録されている2つの物語は「日本人が日本人に死ぬことを命じる」という痛ましい内容です。「生きて虜囚の辱めを受けず」という戦陣訓、「スクリューが故障で回らなかったら手で回してでも突っ込んでみろ」と特攻隊員に怒鳴りつける上官…。「味方の命を消費すること」が、戦争に勝つための手段ではなく目的と化してしまっていた当時の日本軍の末期ぶりが、生々しく描かれています。2014/08/17