出版社内容情報
森 博嗣[モリ ヒロシ]
著・文・その他
内容説明
ウォーカロン。「単独歩行者」と呼ばれる、人工細胞で作られた生命体。人間との差はほとんどなく、容易に違いは識別できない。研究者のハギリは、何者かに命を狙われた。心当たりはなかった。彼を保護しに来たウグイによると、ウォーカロンと人間を識別するためのハギリの研究成果が襲撃理由ではないかとのことだが。人間性とは命とは何か問いかける、知性が予見する未来の物語。
著者等紹介
森博嗣[モリヒロシ]
工学博士。1996年、『すべてがFになる』(講談社文庫)で第1回メフィスト賞を受賞しデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yu
260
Kindleにて読了。 森さん作品なのに、比較的読みやすく感じた一冊。ウォーカロンと人間の区別。未来のお話だけど、なんだか妙にリアルに感じる。ミチル、マガタ博士。 やっぱり登場しましたね。早く次が出ないかなぁ。2015/11/15
kishikan
170
嬉しい!森さんやってくれました、S&Mの200年後版でしょうかね。増殖できる人工細胞でできた複製(純正?)人間ウォーカロンが、純粋人間(どう違う?)と拮抗する位出回っている社会を描いたSF。最近話題の人工知能「ワトソン」、IPS細胞、人口減少社会、今起きていることから考えれば、この小説の世界はありえない話ではない。森さんの小説は論理的な矛盾はないけれど、どうなるか分からないという可能性を小説にしたというところが好きだ。それにしても「マガタ」は何者?永遠の真理「公理」か。そしてハギリは犀川、萌絵の子孫か?2016/03/12
ひめ
158
次作から先に読んでしまったので、彼女がどこでどうやって登場するのか、ドキドキしながら読みました。とても哲学的です。哲学という学問は重要だと改めて思いました。森博嗣、引退すると言ってたようなので、また新シリーズを読めて幸せ。2016/03/11
にいにい
151
森博嗣さんのエッセイを楽しんだことはあるけど、小説は初めて。面白いなぁ。Wシリーズ。「人間とは、」という問いが究極のテーマ?な哲学的SF。好きだな~。細胞コントロール、パラサイトが、種の絶滅、人口問題と絡む。遠い未来としてありそう。ディストピアとまでは言えないけれど、この世界の楽しみって何?、研究も暇つぶしに読めて、どう経済活動の活力を得るの?何が理想的なんだろう?という疑問も頭を掠めながら、ウォーカロンを区別する必要ないじゃんとも。物語の着地は、全く見えない。今後のシリーズ展開が楽しみな序章的一冊。2015/11/19
ケンイチミズバ
137
私なら、ウォーカロンとの共存に全く賛成です。自分の身を呈して幾度もの襲撃から博士(人間)を守ったウグイさんがラストで復活(再生)したのは、うれしかった。進化に抗う人間の気持ちを理解しながら、暴力でなく時間をかけた話し合いでこそ未来は拓かれる。人口減少、労働力不足、再生医療、人工知能、すでに近くまで来ています。マガタ博士が成した偉業から数世紀後の世界だったのか!あと、マーガリン、名前も可愛くていいですね。2015/11/01