出版社内容情報
人の命の重さに違いがあるのはなぜ? 初めての出産を間近に控えた遼子が実家に帰ると、以前と変わってしまった家族の姿があった……東京で初めての出産をまぢかに控えた遼子。夫の克哉が、突如、ドバイへ赴任することになったため、遼子は大阪の実家に戻り、出産をすることに。だが、実家に帰ると、両親と妹・美和の間に、会話がないことに気がつく。そして父は新築したばかりの自宅を売却しようとしていた。不穏な空気が流れる実家で、出産への不安と家族への不信感があふれ出る……そして明らかになっていく家族を襲った出来事とは――。
第一章
第二章
第三章
第四章
第五章
第六章
第七章
第八章
第九章
第十章
第十一章
文庫版あとがき
近藤 史恵[コンドウ フミエ]
著・文・その他
内容説明
東京で初めての出産を間近に控えた遼子。だが突如、夫が海外に赴任することになったため、実家のある大阪で里帰り出産をすることに。帰ってみると、どこかおかしい。仲が良かったはずなのに誰も目を合わせようとしないし、初孫なのに、両親も妹も歓迎してくれていないような…。私の家族に何があったのか?
著者等紹介
近藤史恵[コンドウフミエ]
1969年大阪府生まれ。大阪芸術大学卒業。’93年『凍える島』で第4回鮎川哲也賞を受賞し、デビュー。2008年には『サクリファイス』で第10回大藪春彦賞を受賞し、同作は第5回本屋大賞2位にも選ばれた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ミカママ
566
臨月を迎えた遼子、夫のいきなりの海外赴任に伴い、急遽実家に帰って出産することに。ところが迎えてくれた両親、妹ともなぜかよそよそしい。お腹の子は歓迎されていないのか…家族の秘密が次々と明かされていく過程が見事。ところどころぎこちなさもあるが、ラストまでぐいぐい読まされた。そして衝撃のラスト!改めて著者の引き出しの多さに感服。2021/08/05
三代目 びあだいまおう
304
突然夫が海外赴任。妊娠中の遼子は実家に里帰りして初めての子を産む決意を。おかしい、家族が目を合わせてくれない。会話は続くのに違和感しきり!『あっ、お腹の赤ちゃん動いた!』団欒中の喜ぶべき一言が家族の冷ややかさを生む。初孫を祝ってくれる様な空気がない。歓迎されてない。違和感。『違和感』ほど気持ち悪くて不安にさせる要素があろうか。次第に明らかになる違和感の正体。『命』に良し悪しがあるのか、重い軽いがあるのか。テーマは決して軽くないし深く考えさせられる。感情も伝わってくる。でもきっと正解はないのだろう。‼️🙇2020/01/28
mae.dat
275
不穏な空気を纏ったまま話が進んで行くのですけど。自身が周りから歓迎されていない様な、虐げられている様な。でもその本当の意味を中程で知る事になってね。タイトルの意味を取り違えていた事に気付くと(ó﹏ò。)。起きてしまう前ならば、何かしらの対策があったのかも知れませんけどね。事後の不和を解消するのはとてもとても。誰の考えも気持ちも一定分かるし、明確な悪がある訳でも無いし。大変重くずっしりとくる話でした。正解は分からない。ただ、ラストは希望の持てる締めであったのは救いでした。それは著者史恵さんの優しさかな。2023/04/23
さてさて
259
『正しさとはなんなのだろう』と美和のことを思う遼子。『どうすればあの子が救われるのかわからない』と思う遼子。そんな遼子が、人生初のライフイベントのXデーへとリアルな日常生活を送っていく様が描かれるこの作品。なんとも意味深な書名に隠されたまさかの意味を感じながら読み進める読書は、まさに”ページを捲る手が止まらない”、読書の醍醐味を感じさせてくれるものでした。取り除くことのできない小骨を喉に突き刺すかのように幕を下ろすこの作品。近藤さんの描くミステリーの醍醐味をこれでもかと味わわせてくれた、そんな作品でした。2021/11/01
馨
198
あらすじと帯の見出しを読んで、どんだけ女の裏の顔というか怖い面を見られる小説だろうかと思っていましたがちょっと拍子抜けする内容でした。確かに序盤まではブキミな一家の不自然な態度で、読んでいる方が深読みしすぎて変に疑り深く読み進めてしまったのですが、これは単純に破綻した家族の再生物語で良いと思いました。最後はちょっと妹の「?」が残って、あ~なるほどね、とそれなりに楽しめたと思います。また、時期や年齢によって生まれてくる子供の命の重さが変わってしまうのは確かに悲しいことだと思いました。子供に罪はないのにな。2018/04/22