出版社内容情報
朝井 リョウ[アサイ リョウ]
著・文・その他
内容説明
有名劇団のかつてのスター“つかさ様”のファンクラブ「ファミリア」を束ねる美知代。ところがある時、ファミリアの均衡を乱す者が現れる。つかさ様似の華やかな彼女は昔の同級生。なぜ。過去が呼び出され、思いがけない現実が押し寄せる。息詰まる今を乗り越える切り札はどこに。屈折と希望を描いた連作集。
著者等紹介
朝井リョウ[アサイリョウ]
1989年5月生まれ、岐阜県出身。2009年『桐島、部活やめるってよ』で第22回小説すばる新人賞を受賞し、デビュー。2013年『何者』で、戦後最年少で第148回直木賞を受賞。2014年『世界地図の下書き』で第29回坪田譲治文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
NADIA
144
宝塚をモデルとした女性だけの歌劇団スター「香北つかさ」にまつわる3編の連作。彼女のファンクラブ「ファミリア」の中心人物・美知代。そこに現れた小学校時代の旧友アキにペースを乱されながら、現実の自分と向かい合う結末。続いてそのアキの冴えない中学生時代が語られ、ラストは香北つかさ本人が逆側の視点からの語り手となる。どんな人にもコンプレックスがあり、他人が憎かったり妬ましかったりする気持ちがよく感じられる。ところで宝塚のファン出待ち入り待ちはすごいと聞いたことがあるが、なるほどこんな感じかと実に興味深く読んだ。2018/04/27
takaC
135
結局悩みの根本は立場が違っても皆一緒ってことなんだろうか。2017/08/13
ぷう蔵
128
人は本音と建前を使い分ける。いや、自分自身の本音が分からず過ごしている人、建前を本当の姿だと自分を誤魔化して生き続けている人って結構いるのではないか?恋人のこと、友達のこと、親のことを、いや、ライバルや敵対する人のことでさえ、全ての言動を本音のカモフラージュに利用して、自身に都合の良い解釈や周りからの評価に繋げてきたのではないか?私自身も本音に気付かぬ振りをして、あたかも相手のためを思っての言動という体で生きてきた気がする。さてそれに気付いたところで、ゲームは終盤、大逆転のカードは手中に残っているのか…。2017/06/01
優希
117
面白かったです。屈折と希望を見事に描ききった3編の中編集。確実なことのない世の中で、それでも何かに頼ろうとする葛藤が痛いほど伝わってきました。心に刺さる物語を描くのが上手いです。2018/09/12
インド
112
朝井リョウ8冊目!女性達の心の屈折と僅かな希望の物語。応援する者とされる者、中心にいる者と外にいる者、それぞれの心理描写がとても丁寧だと感じた。双方ともに抱えるコンプレックス。行き詰まる日常。拭い去りたい過去。彼女達はひとつのきっかけから少しずつ変化していく。普段の生活も息苦しいことの連続なので、ぼくもきっかけがほしいー。それも、ただ自分を変えるだけではなく、周囲の環境も変えてしまうほどのキリフダが( ;∀;)。サンタさんそういうプレゼントくれないかなー(タイムリー)。2017/12/23
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- 和書
- まるで無神経な英語