出版社内容情報
川上 弘美[カワカミ ヒロミ]
著・文・その他
内容説明
「不純で鈍感な大人。けっこうわたしは、好きだ」「ときどきスランプは、やって来る」「さくら餅の、あの葉っぱはどうするのか」「寝そべってものを読む癖のある子供だった」…日常のこと、読書のこと、子供のころの思い出。優しさと可愛さと愉快さが同居する、心が温かくなるエッセイ集。未収録の一編も書籍初収録。
目次
匂いの記憶
ぬか床のごきげん
いつもそばに本が
お訊ねしますが
いつもそばに本が2
晴れたり曇ったり
Blue moon
著者等紹介
川上弘美[カワカミヒロミ]
1958年、東京生まれ。お茶の水女子大学理学部卒。’94年「神様」でパスカル短篇文学新人賞、’96年「蛇を踏む」で芥川賞、2001年『センセイの鞄』で谷崎潤一郎賞、’15年『水声』で読売文学賞、’16年『大きな鳥にさらわれないよう』で泉鏡花文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐島楓
70
この本の題名にもなっている、「晴れたり曇ったり」という喫茶店、私も知っていました。その後何度か代替わりしていて、今はどんなお店かわからないですが、懐かしく思い出しました。思わぬところですれ違ったりしていたのかな? と想像するの、楽しかったです。2017/02/21
テトラ
55
日々のことや読書のこと、これまでに考えてきたことを綴ったエッセイ集。穏やかな気持ちになる。「生きていても、会わなければ、いないのと同じだ。同じように、生きていなくとも、思いだせば、会っているのと同じだ」「今この瞬間、わたしは生きていると思った。もうそれだけでいい、それだけで、と思った」何か小説を書きたくて、書けなくて鬱屈としていた川上さんの学生時代。小説を書き始めてから気付いたのは、書くという行為が死について考えることであるということだったという。晴れたり曇ったりの毎日だけどとりあえず生きてさえいればね。2017/04/12
クプクプ
48
エッセイです。本文中の次の文章にはっとさせられました。「子供の潔癖さって、ちょっとこわい。不純で鈍感な大人。けっこうわたしは、好きだ」。この文章を読んで私が自分の中に子供っぽい部分があると思い当たりました。それと川上弘美さんがデビューするにあたって「神様」は有名ですが「椰子・椰子」がそれより前に書いてきっかけをつかんだ作品だと知りました。また、川上弘美さんが北杜夫の本が好きなのは個人的にうれしかったです。ところが後半にショッキングな大きな告白がふたつありました。川上弘美さんを深く知りたい方にはオススメです2019/03/24
tu-bo@散歩カメラ修行中
42
2002年1月~2012年3月に新聞社、雑誌(家庭画報、ミセス等)文庫解説といくつかの書き下ろしで上梓したもの。雑誌は読者層がかなり絞られている。いつもながらの「不思議ちゃん」「宇宙人」ぽい調子だけでなく幸田文、向田邦子風のエッセイもあり読者を楽しませてくれます。書き下ろしエッセイでは、2009年の離婚告知あり。人間ドックで見つかった膵臓腫瘍にまつわる5年生存率10%のがん騒動の顛末(実際は、難病だががんではなくて自己免疫疾患)と当時の心模様を描いたBlue moonが異色で考えさせる。★42018/07/03
橘
34
とても柔らかくてしみじみとしたエッセイ。言葉が水のように染み込んできます。ゆるゆると日々を過ごしてらっしゃるようで、でもそんな中で、離婚されたり、悪性の腫瘍が見つかって手術されたりしていたことを知り驚きました。死を、身近に感じます。生きていく中でスランプに陥っても、この川上弘美さんのエッセイを読んでしんと沈んでやり過ごそうと思います。読めて良かったです。2017/04/30
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