出版社内容情報
都立高校弱小野球部に、アメリカからの転校生クリスが加入。自分流を貫くクリスとチームメイトが軋轢と融和の間を行き来する青春小説都立高校の弱小野球部に、アメリカからの転校生、クリスが入部する。黒人の父と日本人の母を持つクリスの守備の腕前は超高校級。それに比べてバッティングが粗いクリスに日本野球のお家芸「送りバント」を理解させようとチームメイトは秘策を考えつくがーー。笑ったあと、腹底にグッとくる爽快青春小説。選考委員の伊集院静氏、角田光代氏激賞の小説現代長編新人賞奨励賞受賞作。
朝倉 宏景[アサクラ ヒロカゲ]
著・文・その他
内容説明
都立高の弱小野球部にアメリカからの転校生、クリスが入部する。黒人の父と日本人の母を持つ彼の守備の腕前は超高校級。それに比べてバッティングが粗いクリスに「送りバント」を理解させようとチームメイトは秘策を考えつくが―。笑ったあと、腹底にグッとくる爽快青春小説。小説現代長編新人賞奨励賞受賞作。
著者等紹介
朝倉宏景[アサクラヒロカゲ]
1984年東京都生まれ。東京学芸大学教育学部卒業。会社員となるがその後退職し、現在はアルバイトをしながら執筆生活を続けている。2012年に『白球アフロ』で第7回小説現代長編新人賞奨励賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おしゃべりメガネ
194
野球モノのアンソロジーで初読みして以来、気になっていた朝倉さんの作品をやっとしっかりと読むことができましたが、本当に素晴らしい作品でした。悪い意味ではなく、ただの爽やか高校野球小説かと思っていましたが、実はそうではなく、日常の'平和'についてもしっかりと本格的に書かれていた内容については深く考えさせられました。日本の高校野球部に外国人が入部してきたらというなかなか新鮮かつ斬新な物語の展開ですが、友情あり、挫折ありのなか、やはり野球試合の描写は臨場感にあふれ、手に汗握り、興奮を押さえきれず読み続けました。2017/09/02
おかむー
82
タイトルとあらすじからはカルチャーギャップを軸にした青春部活コメディかと思ったらば、意外としっかりした内容で中学校の読書感想文課題図書によさげですね。『よくできました』。アメリカから転校し野球部に入部したハーフの黒人・クリスに送りバントの意義を理解させるために悪戦苦闘する主人公・瀬山。野球のみにとどまらずさらに深いところまで掘り下げる中盤から、団結して挑む試合の描写のなかで山瀬の抱く疑問にまで答えを出してゆく展開は手堅い感触。でも全体に熱量が足りてないのでエンタメとしては惜しいところですね。2017/11/26
涼
66
http://naym1.cocolog-nifty.com/tetsuya/2021/05/post-2587a8.html アフロのクリスが、段々日本のやり方に慣れてくるのが微笑ましかったです。2021/05/08
drago @棋聖戦堪能中。
52
この季節にピッタリの高校野球&青春小説。 ◆都立高校に2年生の黒人と日本人のハーフが転校してきて、弱小の野球部に入部してくる。 ◆日米野球の違いを小ネタに、なぜ弱小校なのにこれほど一所懸命に野球に打ち込むのかというド直球なテーマを縦軸に、甲子園の東東京予選の初戦へと物語が進む。 ◆ややアッサリしすぎだが、分かりやすくて爽やかな青春物語。 ☆☆☆2019/08/15
ばりぼー
51
都立の弱小野球部にアメリカからの転校生が入部し、「べつに勝っても得することなんかそんなにない」高校野球という「究極の無意味」を通して、数々の「Why?」を投げかけてくる青春小説。単なるおちゃらけカルチャーギャップ・コメディーに陥らず、内角胸元を高速スライダーでえぐるようなド真剣勝負を挑んできます。送りバントのサインを無視するクリスに、僕(瀬山)が、軽いノリでsacrifice自己犠牲のサムライ・スピリットを説くと、実はクリスの父親は職業軍人で、イラク出征で戦死していた…。かなり考えさせられる佳作です。2017/08/14