出版社内容情報
狂いゆく愛、毒される欲望、燃え尽きない孤独……。炎暑のヴェニスを舞台とする二組の夫婦の「危険な関係」。炎暑のヴェニスを訪れた二組の夫婦。日常に疑いを持たない夫婦同士が同行した旅であったが、彼らはやがて狂熱に融かされるように我を失ってゆく。狂いゆく愛、毒される欲望、燃え尽きない孤独。内なる衝動に突き動かされ、埋めようのない喪失感に真実を見出し惑う男女を、芥川賞作家が鮮烈な筆致で描いた長編傑作。
青山 七恵[アオヤマ ナナエ]
著・文・その他
内容説明
炎暑のヴェニスを訪れた二組の夫婦。日常に疑いを持たない夫婦同士が同行した旅であったが、彼らはやがて狂熱に融かされるように我を失ってゆく。狂いゆく愛、毒される欲望、燃え尽きない孤独。内なる衝動に突き動かされ、埋めようのない喪失感に真実を見出し、惑う男女を、鮮烈な筆致で描いた長編傑作。
著者等紹介
青山七恵[アオヤマナナエ]
1983年、埼玉県生まれ。筑波大学図書館情報専門学群卒業。2005年「窓の灯」で文藝賞を受賞しデビュー。’07年「ひとり日和」で芥川賞受賞。’09年「かけら」で川端康成文学賞を最年少で受賞する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
301
2組の夫婦がヴェネツィア旅行に出かけるという安直なエンターテインメント小説のような設定なのだが、そこは芥川賞作家だけあって、かの地で4人それぞれの濃密な心理劇を展開して見せる。解説の鴻巣友季子などは「青山七恵文学の新境地であり、ひとつの頂点」と、もう手放しの絶賛なのだが、それほどのものでもない。4者それぞれのあり様が、やや作為的である感は否めない。官能小説まがいの終盤も予想される範囲内に収まっており、各人が抱える葛藤もまた斬新さには乏しい。つまりは、虚構空間としてのヴェネツィアを描きたかったということか。2016/08/16
しゅう
62
榊夫妻と小谷夫妻、二組の夫婦が織りなすヴェニス旅行。榊夫には17歳の愛人がいて、さらには妻が他人から凌辱されるのを想像して興奮するような変態だ。榊妻は19歳の時にレイプされた相手(小谷夫)をいつまでも忘れられずにいる、やはり変態だ。作中では榊妻と小谷夫が容姿端麗でスタイル抜群と、逆に榊夫と小谷妻は容姿的に非常に劣ったものとして描かれている。ルッキズムを連想させる。前半は4人での全体行動の中での多元複合視点が読みづらかった。後半、それぞれが別行動になって様々な出来事に巻き込まれていく。旅によって夫婦の⇒2025/05/17
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33
辛口の感想です、すいません。快楽?自尊心の間違いなんじゃないでしょうか?終始、気分が悪かった。4人共、揃いも揃って全く共感できず、どうしてこうも相手を思いやるという気持ちが欠落しているのかと常々疑問を感じた。自分の思い描く快楽を、他人に押し付け、理想化する。そんなことになんの意味があるんでしょう。2015/08/23
竹園和明
28
ヴェニスを旅する、見た目は不釣り合いな二組の夫婦。それぞれが抱える思惑と魂胆が絶え間なく交差するー。正直それなりに面白かった。艶やかなヴェニスの街風景や4人の心理戦のような内面描写が延々と続く。タイトルから連想される?ような性愛の表現は全然少なく、しかし全体を覆うヴェニスの空気が匂い立つようなエロスを醸し出す。“本物”を求め続け、遂にヴェニスでそれを得た主人公燿子。しかしその本物はー。彼女が最後に言う。「本物だって偽物だってどうでもいい」。問題はそこではなく、一時に得た刹那の快楽だったのだろう。2016/03/28
coco夏ko10角
28
内容はあまり…。青山七恵さんには物語よりも文章に期待して本を手にするけど、今作は今までと文体を変えていて…いつもの文章の方が好きだな。2016/02/04