講談社文庫<br> 対馬丸

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講談社文庫
対馬丸

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  • サイズ 文庫判/ページ数 308p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784062930246
  • NDC分類 916
  • Cコード C0193

出版社内容情報

沖縄から本土に向かった学童疎開船対馬丸は米の攻撃で沈没する。生存学童五〇余名。忘れてはいけない悲劇、それは何故起きたのか?昭和一九年八月、沖縄から本土に向かった学童疎開船対馬丸はアメリカ潜水艦の魚雷を受け、深夜の海に沈んだ。乗船者一六六一名、うち学童八〇〇余名。生き残った学童はわずか五〇余名。戦争完遂という大義名分のもとに実施された疎開事業における最大の悲劇は、なぜ起きたのかを伝える名著。

戦争についての記憶を21世紀に伝える重要な文学作品だ。
―佐藤優(作家・元外務省主任分析官)

この著作の主人公は子どもたちであり、本はそれを代弁するに過ぎない。子どもたちの親兄弟も残り少なくなった。せめて、この本がその慰めのいくらかをも果たせればと願う。―大城立裕(「文庫版あとがき」より)

いのちがけの教育
行くも地獄、残るも地獄
親と子と
不気味な前夜
集合
たそがれの出航
無邪気な乗客
今晩はあぶない
撃沈
死とたたかう漂流
役に立った手旗(仲宗根正男の話)
助けあいながら(阿波連休子の話)
幼い知恵と意志で(宮城啓子の話)
わんぱくも参った(田場兼靖の話)
泣きべそと夜光虫(名城妙子の話)
愛児の死をみながら(田名宗徳の話)
むなしい上陸
校長が殺したか
燃えろ、燃えろ……
付録
あとがき


大城 立裕[オオシロ タツヒロ]
著・文・その他

内容説明

昭和一九年八月、沖縄から本土に向かった学童疎開船・対馬丸はアメリカ潜水艦の魚雷を受け、夜の海に沈んだ。乗船者一六六一名、うち学童八〇〇余名。生き残った学童はわずか五〇余名。戦争完遂という大義名分のもとに実施された疎開事業における最大の悲劇が、なぜ起きたのかを伝える名著。

著者等紹介

大城立裕[オオシロタツヒロ]
1925年沖縄県中頭郡中城村生まれ。沖縄県立二中を卒業後、上海の東亜同文書院大学予科に入学。敗戦で大学閉鎖のため、学部中退。’47年琉球列島米穀生産土地開拓庁に就職。’48年野嵩(現普天間)高校教師に転職し文学と演劇の指導にあたる。’49年「老翁記」で小説デビュー。’67年「カルテル・パーティー」で芥川賞受賞。また沖縄史料編集所所長、沖縄県立博物館館長などを歴任(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

駄目男

10
魚雷が命中するという衝撃は私たちには解らないが沈み行く船の上からは大人たちが無理やり子供を海に投げ込んでいたらしい。 筏でもなんでも掴まってとにかく船から離れろと。 それからというもの飲まず食わずで何昼夜も海中に浮いて救助を待つ心境とは如何なるものか。 多くのものが鱶に喰われ夜は寒く昼は日焼けに悩まされ、疲れて眠る者は打ん殴られて叩き起こされたとか。 睡眠を即ち死を意味するからだ。 ご冥福をお祈りしたい2015/04/02

hatasatohito

9
子供の頃にアニメ映画「対馬丸-さようなら沖縄-」を見て以来、ずっと興味があり類書も含め読んできた。このタイミングで講談社文庫から改訂版が出たのがとても嬉しい。本書のあとがきにも、この本の歴史が綴られているが、遺族会からの依頼を受け、生存者や遺族からの取材を重ね、最初に刊行したのが1961年。それから50年以上も経ち、対馬丸事件からは70年以上も経つのに、乗船時の混乱のために巻末に載せる犠牲者名簿ははっきりせず、改訂を重ねているという。今回は本文も改めており、改訂を続ける大城立裕氏や遺族会の執念を尊敬する。2015/05/03

Ikuto Nagura

8
はじめは何て読み辛い作品かと思った。たくさんの子どもや親たちと教育者たちの名前が出てきて、さらに彼らのエピソードが次から次に並列されて、視点を固定できなかったからだ。しかし、遭難した1600余名、みなそれぞれに名前があり人生があった。それらを思うには、巻末の遭難者名簿とともに、こういう記述方法が必然なのだろう。「その犠牲を見つめることは、親の責任を見据えることであり、その親を導いた国の責任を問うことになる。歴史を見通すこころでいえば、おとなの責任を永遠に問うことである。私たちは、それに耐えられるだろうか」2015/08/06

あかりんご

7
子供の頃にアニメで見てとても記憶に残っていて、今回改訂版が出たのを見てさっそく読んでみた。アニメを見ていたのもあり、悲惨さが伝わり、より詳しい情況もわかり、胸が締め付けられる。緻密な取材とそれを書き起こしてくれた著者に感謝しかない。沖縄、軍部、対馬丸のその時の情況がとてもわかる。附録の名簿が痛ましい。これでもまだ完全に把握してないとは・・・2015/06/01

牧神の午後

4
戦争の犠牲者はいつだって真相を知らない無辜の民。しかも学童疎開だったもんだから、巻末に掲載された名簿をまともに見られない、本当に胸が痛くなる。もちろん遭難してしまった人々の悲劇にはどれだけ言葉を尽くしても、哀悼なんで軽くなる。しかしそれ以上に重いのは、人々への悪影響を恐れ沈没したという事実を伏せようとした軍部の愚行。生き残っても家族にすら真相を伝えられなかった人々の想いを想像するにあまりある。2017/08/29

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