内容説明
未発表資料と多数の図版による新たなるサティ像の提示。一九二〇年代のパリ・アルクイユ、郊外の楽想。
目次
郊外の出版社から
エリック・サティの栄光を称えて
コクトーからサンドラールへ
引っ越しの理由
「四本煙突の家」
弟に書きおくる新天地
アルクイユのほう
モンマルトルの職場では
自己改革の日々
アルクイユのサティ
広報担当兼団体役員
革新派サティ
戦争とサティ
二十年代のパリへ
アルクイユに眠る
その後:賛辞
著者等紹介
ヴォルタ,オルネラ[ヴォルタ,オルネラ][Volta,Ornella]
1927年、トリエステに生まれる。小説や神秘主義に関する著作をあらわした後、70年代以降はサティ研究に傾倒し、エリック・サティ協会を創設する。現代画家のピエール・アレシャンスキーやサックス奏者のスティーヴ・レイシーらと分野を越えた幅広い交流を持つ
昼間賢[ヒルマケン]
1971年、埼玉県に生まれる。98年秋から03年春にかけてパリ第4大学に留学、アントワーヌ・コンパニョンに師事する。現在、早稲田大学文学部助手
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感想・レビュー
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ラウリスタ~
12
訳者は「郊外」の語源を「追放された土地」「追放の地」としているが、これは(かなりの知識階層にまで流布している)誤った語源である。サティはパリ南郊のアルクイユ(伝統的に緑の多い「良い」郊外だ)に転出する。著者ヴォルタの描くサティの通勤風景(車窓から見えるビエーヴル川、石切り工など)は意識してかしらずか、極めて19世紀的な郊外の紋切り型が、20世紀初頭を描く際の現代人にも共有されていることを明かしている。郊外転居という突飛に見える選択も、合理的で(鉄道では一駅)、英国的(母がスコットランド人)。2021/07/26
みこれっと
2
サティの音楽に興味があるのでいろいろと読みたくなって借りた本。テレビ番組とかで紹介されるときはどうしてもエキセントリックな人物として現されるけど、やっぱり奇妙な人だなあと。なんとなくサティの周辺の(普通の)人々の証言が多いような気がしました。もっとサティを知りたいな。2016/01/14
とんこつ
2
どこかとらえどころのないサティですが、何かを掴めたらと思い本書を読んだものの、やっぱり掴みにくい男でした。頭の中で冗談を考えながら黙々と夕暮れの郊外を歩くサティの姿が心に浮かんでくるような気がします。2011/11/30
nobu
0
★★★2011/06/09