出版社内容情報
金銀でかなわぬものは、命だけ――井原西鶴による町人物の大傑作かつ、致富の指南書。元禄ニッポンのベストセラー。親譲りの始末屋があっさり色に溺れ、越後屋が現金掛け値なしの新ビジネスを始め、大借金をして勘当を喰らった二代目は物乞いに説教され――。
その才覚や商魂、あるいは始末倹約で分限者への道を切り開く者。怠惰や驕慢、あるいは贅を尽くした遊興でわかりやすく破産へと転げ落ちる者。好運に恵まれる者、不運に苛まれる者。元禄の世を迎えんとする日本では、発達する貨幣経済のなかで苦闘し、我が身の浮き沈みに翻弄される人々のドラマが繰り広げられていた。金銀でかなわぬものは、命だけ――あらゆる欲に取り巻かれた新興町人たちの、おかしくもどこか悲しい群像劇。まじめ過ぎる商人、ドラ息子、度を越したケチたちが、人生の何たるかを教えてくれる。井原西鶴が貞享五年(1688)四十七歳で遺した、この町人物の大傑作にして蓄財指南の書は、江戸時代を通してベストセラーとなる。
巻一
初午は乗てくる仕合/二代目に破る扇の風/浪風静に神通丸/昔は掛算今は当座銀/世は欲の入札に仕合
巻二
世界の借屋大将/怪我の冬神鳴/才覚を笠に着る大黒/天狗は家な風車/舟人馬かた鐙屋の庭
巻三
煎じやう常とはかはる問薬/国に移して風呂釜の大臣/世はぬき取の観音の眼/高野山借銭塚の施主/紙子身袋の破れ時
巻四
祈るしるしの神の折敷/心を畳込古筆屏風/仕合の種を蒔銭/茶の十徳も一度に皆/伊勢ゑびの高買
巻五
巻六
廻り遠きは時計細工/世渡りには淀鯉のはたらき/大豆一粒の光り堂/朝の塩籠夕の油桶/三匁五分曙のかね
銀のなる木は門口の柊/見立て養子が利発/買置は世の心やすい時/身体かたまる淀川のうるし/智恵をはかる八十八の升掻
解説
江戸時代の貨幣と経済
井原 西鶴[イハラ サイカク]
著・文・その他
矢野 公和[ヤノ キミオ]
翻訳
有働 裕[ウドウ ユタカ]
翻訳
染谷 智幸[ソメヤ トモユキ]
翻訳
内容説明
生真面目すぎる商人、ドラ息子、度を越した吝嗇たち。越後屋は「現金掛け値なし」で大当たり、一方別の二代目は金を使い込んで勘当、物乞いに説教をくらう。元禄前夜、富を築き、また守らんとあがく庶民の姿を活写した、井原西鶴による町人物浮世草子の大傑作。人間の面白さと、お金の稼ぎ方を教えてくれる、江戸期以来のベストセラーを完全新訳。
目次
初午は乗てくる仕合
二代目に破る扇の風
浪風静に神通丸
昔は掛算今は当座銀
世は欲の入札に仕合
世界の借屋大将
怪我の冬神鳴
才覚を笠に着る大黒
天狗は家な風車
舟人馬かた鐙屋の庭〔ほか〕
著者等紹介
井原西鶴[イハラサイカク]
寛永19(1642)‐元禄6(1693)。俳諧師、浮世草子作家。『好色一代男』『世間胸算用』など
矢野公和[ヤノキミオ]
1943年東京生まれ。東京大学大学院人文科学研究科修了。文学博士。元東京女子大学教授
有働裕[ウドウユタカ]
1957年兵庫県生まれ。東京学芸大学大学院教育学研究科修了。教育学修士。現在、愛知教育大学教授
染谷智幸[ソメヤトモユキ]
1957年東京都生まれ。上智大学大学院博士前期課程修了。文学博士。現在、茨城キリスト教大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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