出版社内容情報
池田 知久[イケダ トモヒサ]
翻訳
内容説明
達意の現代語訳で読む中国古典の白眉。「一」であり「無」である「道」とは何か?「万物斉同」「胡蝶の夢」「朝三暮四」「庖丁解牛」「無用の用」…。深遠な問いと軽妙な文章が説く超俗の思想世界に遊ぶ。存在、宇宙、自然、技術、政治などの森羅万象を究めんとする東洋哲学のはじまりの書である。上巻は内篇「逍遙遊」から外篇「至楽」の十八篇を収録。
目次
内篇(逍遙遊 第一;斉物論 第二;養生主 第三;人間世 第四;徳充符 第五;大宗師 第六;応帝王 第七)
外篇(駢拇 第八;馬蹄 第九;〓篋 第十;在宥 第十一;天地 第十二;天道 第十三;天運 第十四;刻意 第十四;繕性 第十六;秋水 第十七;至楽 第十八)
著者等紹介
池田知久[イケダトモヒサ]
1942年生まれ。東京大学文学部卒業。同大学院博士課程中退。東京大学教授、大東文化大学教授などを歴任。現在、中国山東大学教授・東京大学名誉教授。専門は中国思想史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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記憶喪失した男
14
キリスト教成立以前、仏教の中国伝来以前に「造物主」ということばが見られ、一神教のような教えが中国にすでに存在していたことがわかる。「辯天」ということばがある。「井の中の蛙」の出てくる章の題である。「荘子」の基本思想は、「遊ぶ」をもって聖人の道としている。2017/11/20
吟遊
13
原文と現代語訳だけの簡易版。読み下し文はない。「遊」の思想に始まり、自由自在で無為を尊ぶ、老子につらなりさらに展開される小話の数々。戦国時代を反映しているのかな、とも思う。新訳で解説も、研究動向に触れており、良書!2017/09/12
黒澤ペンギン
9
100分で名著から。荘子の根本思想満載で、「そこまで言っちゃうの」って感じで面白い。万物斉同、遊、養生、無為などなど。エピソードも満載なので読み物としても楽しめる。 分かったわけではないけど、彼と是も、是と非も何もなく万物は同じで一つだなんて、大胆だけどそのままの存在を肯定されているようで居心地いいなー。2022/05/29
みのくま
7
上巻のみだが論理的整合性が取れない所も多く、あまり面白くなかった。(外篇「秋水」第十七は面白かった。)ただその中でムリに荘子の言説の趣旨を汲み取ると「自然に任せるのが最高」である。儒教のように頑張って聖人になろうとするのは自然に逆らっているからダメという事だが、さらに人助けよりも自分の長生きが大事という事も主張していて、公共性とは?と頭を抱えざるを得なかった。基本的にアンチ・儒教の為のテクストという感じであり、生産的な主張に乏しいように思う。ただ激動の春秋戦国時代のテクストだという事は考慮せねばならない。2021/06/07
singoito2
6
ヤスパース理解のために借りてきました。未読と思っていましたが、読み進むうちに若い頃に読んだけど、全体の輪郭がはっきりしない印象だったことを思い出しました。訳者によると200年ほどかけて複数の人びとの筆によって成立した書物であり、その主張するところも儒家などとの関連によって論点の浮動があるということで、当時の印象も私の理解不足ばかりではなかったと納得。現代語訳はとてもこなれていて、書き下しはありませんが、逆に読みやすいです。読み進むに従って「无」が「無」である、とかだんだん分ってきたりするのも愉しいです。2022/06/27