講談社学術文庫<br> 革命論集

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講談社学術文庫
革命論集

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  • サイズ 文庫判/ページ数 624p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784062924078
  • NDC分類 308
  • Cコード C0131

出版社内容情報

稀代の革命家グラムシが1914年10月から逮捕・収監される直前の1926年10月に残した論考群。本邦初訳を数多く含む論集!本書は、稀代の思想家アントニオ・グラムシ(1891-1937年)が1926年11月8日、前日に成立した国家防衛法違反の容疑で逮捕・収監されるまでの時期に残した主要な論考を精選した日本独自のアンソロジーである。
グラムシがイタリア社会党に参加した翌年にあたる1914年7月、第一次世界大戦が勃発する。当初は中立を宣言していたイタリア政府はひそかにイギリス、フランスと結び、ドイツ、オーストリアとの三国同盟を破棄して1915年には参戦に至った。イタリア社会党は政府に「絶対的中立」の立場をとるよう要求したが、党機関紙『アヴァンティ!』の編集長を務めていたベニート・ムッソリーニ(1883-1945年)は「相対的中立」を主張して参戦に傾き、社会党を除名される。こうした動きの中で1914年10月末に発表された「積極的かつ能動的な中立」が、本書の冒頭を飾る論考である。
以降、労働者による工場占拠闘争に参加するなど、積極的な行動を執筆と併行して展開したグラムシは、1921年のイタリア共産党結成に際しては、コミンテルン執行委員会のイタリア代表に任命された。その後、党代表としてモスクワを訪れたグラムシには逮捕状が出されるものの、1924年には下院議員に選出されてイタリアに帰国。議員の不逮捕特権を利用してムッソリーニのファシスト政権との対立姿勢を強めたが、2年後には逮捕・収監され、20年4カ月5日間の禁固刑を受けることになる。本書の最後に収められた「南部問題のいくつかの主題」は、逮捕される1カ月前に執筆されたものだった。
その後、1934年10月に仮釈放を認められるまでのあいだに書かれた33冊に及ぶ「獄中ノート」によって、ヘゲモニー論に代表されるグラムシ独自の思想が生まれ、深化させられたことは、よく知られている。しかし、その思想が生まれる土壌となったのが逮捕以前の時期の行動と執筆だったことは疑うべくもない。
本邦初訳の論考を数多く含む本書によって、ついにグラムシという巨人の全貌を目にすることができるだろう。

第一部 第一次世界大戦とロシア革命の衝撃
積極的かつ能動的な中立
社会主義と教養
南部と戦争
三つの原理、三つの秩序
ロシア革命にかんする覚え書き
ロシアの最大限綱領主義派
『資本論』に反する革命
批判的批判
われわれのマルクス
ユートピア
国家と主権
第二部 「赤い二年間」とトリーノ工業評議会運動 (1)
歴史の代価
労働者民主主義
国家の征服
労働者と農民
革命の発展
フィアットの中央工場ならびにブレヴェッティ工場の職場代表委員へ
労働組合と評議会
サンディカリズムと評議会
職場代表委員の綱領
一二月二─三日の事件
アナーキストたちへ
第三部 「赤い二年間」とトリーノ工業評議会運動 (2)
迷信と現実
社会党の革新のために
工場評議会
タスカ報告とトリーノ労働会議所大会
二つの革命
トリーノにおける工場評議会運動
『オルディネ・ヌオーヴォ』の綱領
共産党
赤い日曜日
フィアットは協同組合になるのだろうか
第四部 共産党の創設とファシズムの登場
労働者国家
猿の民
人民党員たちの危機?
革命家マリネッティ?
リヴォルノ大会
カポレットとヴィットリオ・ヴェネト
戦争は戦争である
労働者統制
イタリアとスペイン
イタリア議会
社会主義者たちのマニフェスト
反動的転覆主義
なぜブルジョワジーは国を統治できないのか
首領たちと大衆
二つのファシズム
イタリアにおける農地闘争
諸政党と大衆
一年
総力を結集した行動のための金属労働者たちの経験
第五部 ファシズム政権の下で
ペシミズムに抗して
小ブルジョワジーの危機
イタリアの危機
わが党の内部状況と来たるべき大会の諸任務
南部問題のいくつかの主題
付録 イタリアの状況とイタリア共産党の任務
アントニオ・グラムシ小伝(上村忠男)
編訳者あとがき
人名および新聞・雑誌名一覧


アントニオ・グラムシ[アントニオ グラムシ]
著・文・その他

上村 忠男[ウエムラ タダオ]
編集/翻訳

内容説明

稀代のマルキストにしてイタリア共産党創設の立役者アントニオ・グラムシ(一八九一‐一九三七年)。本書は、一九二六年一一月に国家防衛法違反の容疑で逮捕・収監されるまでの期間にグラムシが残した文章を精選した日本独自のアンソロジーである。農民と労働者の同盟を目指す実践とそれを支える強靭な思想。ファシズムとの激しい闘いの壮絶な記録!

目次

第1部 第一次世界大戦とロシア革命の衝撃(積極的かつ能動的な中立;社会主義と教養;南部と戦争 ほか)
第2部 「赤い二年間」とトリーノ工場評議会運動(1)(歴史の代価;労働者民主主義;国家の征服 ほか)
第3部 「赤い二年間」とトリーノ工場評議会運動(2)(迷信と現実;社会党の革新のために;工場評議会 ほか)
第4部 共産党の創設とファシズムの登場(労働者国家;猿の民;人民党員たちの危機? ほか)
第5部 ファシズム政権の下で(ペシミズムに抗して;小ブルジョワジーの危機;イタリアの危機 ほか)
付録 イタリアの状況とイタリア共産党の任務―リヨン大会テーゼ(一九二六年一月)

著者等紹介

グラムシ,アントニオ[グラムシ,アントニオ] [Gramsci,Antonio]
1891‐1937年。イタリアの思想家。1921年にイタリア共産党の結成に参加。1926年に逮捕され、獄中で鍛え抜かれた独自の思索は33冊に及ぶノートに書き残された

上村忠男[ウエムラタダオ]
1941年生まれ。東京外国語大学名誉教授。専門は、学問論・思想史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

壱萬参仟縁

33
まずもっては教養を百科全書的な知ととらえる慣習から脱する必要がある(24頁)。ある国、ある社会、ある集団の歴史的目的がなんであるかを正確に認識するためには、まずもって、その国、その社会の生産と交換の体制と関係がなんであるかを認識することが重要である(75頁)。独裁は、その自由を保障し、少数党派の奇襲を阻止する基本的制度である。それが自由を保障するというのは、それがいつまでも永続させるべき方法ではなく、独裁がみずからの使命を果たしおえたのちにはそのなかに解消されることになる、2017/10/13

cockroach's garten

19
途中で断念。イタリア共産党設立の立役者で左派思想家の中でも有名なグラムシの小論を一部100ページ、一節10ページとなっている。読むのは容易いがそれを解釈するのは難しい印象。検閲で文章が幾行か削られているもののグラムシの考えは霞まない。後の方になるとイタリア社会を席巻したファシスト対する考察が読めたのだがまた再挑戦しようと思う。当時のイタリアの状況を知るという目的でも本書は価値ある一冊だろう。2018/07/01

BLACK無糖好き

15
イタリア共産党設立の中心人物アントニオ・グラムシが、1926年国家防衛法違反の容疑で逮捕・収監されるまでの時期に機関紙や評論紙に残した論考集。巻末の上村忠男による「アントニオ・グラムシ小伝」を先に読み、時代背景を押さえてから各論考を読む方が入りやすいかもしれない。とはいえ第一次世界大戦とロシア革命の衝撃から波及したイデオロギー闘争、社会変革の動き、ブルジョアやプロレタリア、農民と労働者の同盟なども現代の視点から見るといささか古臭さを感じざるを得ないが、本書も学術的な史料としては意味合いはあるのだろう。2017/11/05

古川

2
グラムシが逮捕される前に書いていた機関紙の論説などをまとめたものらしい。イタリアはサンディカリズムの強いお国柄なので、サンディカリズムではダメな理由、前衛党あっての労働組合であるという主張についてかなり紙面を割いている。また、没落の危機に陥ったプチブルを起源とするファシズム論は現代においても価値を失っていない。とはいえ、全体的には正統派マルクス・レーニン主義の範疇であり、独創的視点はあまりないと思う。グラムシ独自の思想はこのあと獄中で発展したということか。2017/12/10

湯豆腐

1
ヘゲモニー論で名高いグラムシによる論集。労働組合に対する考え方には見るべきものがある。イタリアにおける社会主義の流れを理解した上で読むとより分かりやすい。2019/08/12

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