出版社内容情報
「倭」と「日本」のちがい、「やまと」との関係、有名な国書「日出づる処の天子」の位置づけなど、国号の意味と歴史を追跡する力作日本、日本人、日本語、日本文学等々、わたしたちは、当たり前のように「日本」といい、自分たちをあらわす国の名(国号)として、何ら疑わずにいる。しかし、その名がどういう意味をもつかということについて、共通の認識をもっているであろうか。小学校や中学校で、「日本」という名の意味を教えられた(あるいは、いま教えられている)だろうか。
国歌・国旗については制度化されており、国号が「日本国」であることはたしかだが、その名の意味に関しては、あいまいなのである。これは、明治以来、国定教科書においても、「国体」が強調された昭和戦前期においても、なんら変わりはない。
その答えは、「日本」の名がどのようにして生まれ、どのような歴史をたどってきたかを見渡すことでしか、見つけられない。
本書は、そうした国号「日本」の来歴について、その登場から近代に至るまでを、ていねいに、厳密に、かんがえようとしたものである。
第一章 「日本」の登場
「倭」から「日本」へ/「日本天皇」と「日本」
第二章 古代帝国における「日本」
『日本書紀』における「日本」/「日本」があらわれない『古事記』
第三章 古代中国における「倭」と「日本」
「倭」の意味
第四章 『日本書紀』講書のなかの「日本」
『日本書紀』講書と「私記」/「日出づる処の天子」
第五章 「日本」と「やまと」
第六章 「日本」の変奏
『釈日本紀』の立場/大日如来の本国「大日/本国」
第七章 「東海姫氏国」ほか
さまざまな呼称
第八章 近代における「日本」
宣長をめぐって/国定教科書のなかの「日本」
補論 新出資料「祢軍墓誌」について
神野志 隆光[コウノシ タカミツ]
著・文・その他
内容説明
はじめは「倭」としてあらわれる。中国の正史では『唐書』で「日本」へと変わり、定着する。『日本書紀』に「日本」はあるが、『古事記』には一例も出てこない。平安時代に盛んに行われた『日本書紀』講書の議論から本居宣長を経て近代まで。「日本」の誕生とその変奏、時代とともに意味を更新していく歴史を、厳密な史料読解により明晰に示した会心の力作―。
目次
第1章 「日本」の登場
第2章 古代帝国における「日本」
第3章 古代中国における「倭」と「日本」
第4章 『日本書紀』講書のなかの「日本」
第5章 「日本」と「やまと」
第6章 「日本」の変奏
第7章 「東海姫氏国」ほか
第8章 近代における「日本」
著者等紹介
神野志隆光[コウノシタカミツ]
1946年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科・教養学部教授、明治大学特任教授を経て、東京大学名誉教授。専攻は、日本古代文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
へくとぱすかる
ゲオルギオ・ハーン
Emkay
さとうしん
koochann