講談社学術文庫*再発見日本の哲学<br> 再発見日本の哲学 吉本隆明―詩人の叡智

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講談社学術文庫*再発見日本の哲学
再発見日本の哲学 吉本隆明―詩人の叡智

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  • サイズ 文庫判/ページ数 299p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784062923132
  • NDC分類 910.268
  • Cコード C0110

出版社内容情報

詩『固有時との対話』に、初期論考から『共同幻想論』などの主著、最晩年の思索にまで一貫する思想の全貌を見通す、吉本論の決定版!戦後日本の思想界において、圧倒的な人気を誇り、厖大な著作をあらわした吉本隆明。著述だけではなく、インタビューや講演などをふくめ、社会現象と言っていいほどの幅広い活動で注目を集め続けた。
では、彼の思想の根本とは、どのようなものだったのか。
著者は、初期の詩集『固有時との対話』に、その思想の本質がすべて含まれているという。
詩『固有時との対話』を詳細に読み解きながら、主著である『共同幻想論』や『言語にとって美とはなにか』などの思索の本質にまで説き及ぶ、画期的な吉本論。
鹿島茂さんが、「週刊文春」誌上(私の読書日記)で激賞された力作の文庫化!

序章 見取り図
    「個」という問い/詩的なものからの出発
第一章 思索の原点
   一、「地獄のやうな青春の宿題」
   二、純体験のかたち
   三、戦争協力詩と日本的近代自我
第二章 固有時との対話
   一、題名及び題辞をめぐって
   二、現存の基底へ
   三、存在を交換する場所
第三章 詩的思想の展開
    理論としての風景/自己幻想と共同幻想の逆立/意    識の自己表出性/普遍文学という思想


菅野 覚明[カンノ カクミョウ]
著・文・その他

内容説明

厖大多岐にわたる吉本隆明の著作や活動のすべての根源は、初期の一編の詩にもとめられる。詩「固有時との対話」を詳細に徹底的に読み解き、初期の論考から『共同幻想論』『言語にとって美とはなにか』などの主著、そして晩年に至るまでの、一貫した思想を浮き彫りにした名著。近代日本の自我の問題を考え抜いた稀有な詩人哲学者の思索の本質とは。

目次

序章 見取り図(「個」という問い;詩的なものからの出発 ほか)
第1章 思索の原点(「地獄のやうな青春の宿題」;純体験のかたち ほか)
第2章 固有時との対話(題名及び題辞をめぐって;現存の基底へ ほか)
第3章 詩的思想の展開(理論としての風景;自己幻想と共同幻想の逆立 ほか)

著者等紹介

菅野覚明[カンノカクミョウ]
1956年生まれ。東京大学大学院博士課程単位取得退学。東京大学教授を経て、皇學館大学教授。専攻は、倫理学、日本倫理思想史。おもな著書に、『本居宣長』、『神道の逆襲』(サントリー学芸賞)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

無重力蜜柑

10
「再発見日本の哲学」は普通の欧米哲学知識の枠組みでは理解しにくい本が多いシリーズだが、これは輪をかけて分かりにくい。というか正直、クソつまらん。前半はまだ理解できる。戦中世代の「個人」や「社会」に対する独特のスタンス、詩の分析を通した意識の分析、近代的論理と前近代的感性の関係。しかし「固有時」の詳細な解説に入った辺りからわけが分からなくなる。筆者は批評と詩作の一致という観点から当該作を読み解いているが、高度に抽象的な詩がそんな風に読めると言われても「はあ、そうですか」。量子力学や相対性理論の濫用にも辟易。2022/06/30

politics

2
戦後日本において独自の思想を開花させた吉本隆明を主に「詩」に注目して解説した一冊。吉本の思想の難解さは「詩」を使っていることと、理系的バックボーンを持ち合わせているから来ているのかを感じた。私自身は「共同幻想論」の興味から吉本に関心があったが、それを理解するためにも彼の「詩」についても理解しなければならないのだろう。何れにしても吉本の膨大な著作は詩、特に「固有時との対話」が核になって構成されるということは、非常に興味深かった。2020/08/15

2
なんという大胆さ!吉本を論じるに、ほぼ一冊まるごと初期の詩篇『固有時との対話』の読解に捧げることで、あの膨大な仕事の核心をつかみとろうという、空前の野心作だ。はじめの著作にのちの萌芽がすべてうめこまれているとは、よくいわれもし、幾人かにその例をたしかめもしたけれど、こと吉本に関しては、そんな発想を抱いたことすらなかった。自らの頭でひねりだしてゆく強靭な思索に勇気づけられてきた身には、そのすべてが自己をめぐる初発の問いを追究した所産であるという見立ては、読み直しを迫るもので、もっと前に知れたらと悔しくなる。2016/02/25

岡部淳太郎

1
吉本隆明の著作は詩を中心に「言語美」「共同幻想論」「心的現象論序説」「マチウ書試論」「初期ノート」「戦後詩史論」など手に入りやすいものを中心に断片的に呼んだだけだが、この吉本論は非常によくまとまっている。まず批評の役割として読者に批評対象への興味を抱かせるという前提を抑えた上で、吉本のともすれば難解に見えがちな思想の根幹部分をよく説明しえていると思う。これを読んでもう一度「固有時との対話」を読み返し、また、まだ読んでいない吉本の著作を読みたくなった。そう思わせた時点で、本書はある程度の成功を収めている。2018/10/02

miyuki

0
3月16日より。吉本隆明を、詩人哲学者としての立場に定めて、彼の根本思想部分を論じているので、とてもまとまっているが、それにしても難解である。筆者もことわっているように、吉本の理論は専門学問からはずれた部分、つまり作家としての側面が思考や知識の摂取そのものに大きくみられるから、どう論じるかを学術の範囲で述べるのはむづかしいのだろう。この本はまとまってはいるけれども、それにしても難解な、抽象的表現が多く、入門や案内というよりはひとつの吉本論と言った方がよさそうである。2016/04/05

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