出版社内容情報
ヒトラーとムソリーニの支持を得て激しい招致合戦に勝利しながら、戦火と国策の中で「返上」に追い込まれた1940年東京五輪の悲劇東京がオリンピック招致に成功したのは、今回の2020年で実は3回目である。1940年(昭和15年)に開催が予定されていた第12回オリンピック東京大会は、開催都市が自ら大会を返上した史上唯一のケースとなり、「幻のオリンピック」と呼ばれることとなった。
日本国内でも当初から「皇紀2600年記念」の国家行事として構想されたこの大会は、激しい誘致合戦に勝つためのヒトラーやムソリーニとの取り引き、満洲事変と国連脱退に対する厳しい国際世論、拡大する日中戦争のなかで起こり始めるボイコットの動きなど、最初から戦争と政治に振り回されていた。また、開催しても「満州国」は参加できるのか、天皇の開会宣言は可能なのか、など問題山積みのまま、準備は遅れに遅れていた。そんななか、招致に尽力したIOC委員・副島道正は、あえて「返上やむなし」と腹を決める――。
関東大震災からの復興をアピールし、名乗りを上げてからわずか5年で招致に成功しながら、返上に追い込まれるまでの経緯と関係者の苦闘を、長くスポーツ報道に携わった著者が描き出す。
『幻の東京オリンピック』(1994年・日本放送出版協会刊)の文庫化。
第一章 オリンピックを東京に―市長永田秀次郎の夢
紀元二千六百年を記念して/腰の重い体育協会/ロサンゼルスの青い空/満州国は参加できるのか/ムソリーニの好意/オスロ総会の舞台裏
第二章 招致実現に向けて―ヒトラーも協力
ベルリン大会を前に/IOC会長の変心/東京招致に成功/ナチス・オリンピック/日本選手団騒動
第三章 戦火ただようなかで―問題山積の開催準備
難航した組織委員会の発足/テレビ中継をめざして/メーンスタジアムはどこに/日中戦争勃発/対立と苦悩の組織委員会/四面楚歌のカイロ総会
第四章 オリンピックの火は消えた―ついに大会を返上
雄大な聖火リレー計画/着工できない競技場/東京大会ボイコットへ/国策に敗れたオリンピック/空白の祝祭
学術文庫版のあとがき
橋本 一夫[ハシモト カズオ]
著・文・その他
内容説明
関東大震災からの復興をアピールし、「皇紀二千六百年」を記念して構想された一九四〇年の東京オリンピックは、ヒトラーやムソリーニとの取引で招致に成功したものの、「満州国」参加の可否、天皇の開会宣言など問題は山積みだった。そして日中戦争が勃発、ついに返上を余儀なくされる。戦争と政治に翻弄された五輪の悲劇と、尽力した人々の苦悩を描く。
目次
第1章 オリンピックを東京に―市長永田秀次郎の夢(紀元二千六百年を記念して;腰の重い体育協会 ほか)
第2章 招致実現に向けて―ヒトラーも協力(ベルリン大会を前に;IOC会長の変心 ほか)
第3章 戦火ただようなかで―問題山積の開催準備(難航した組織委員会の発足;テレビ中継をめざして ほか)
第4章 オリンピックの火は消えた―ついに大会を返上(雄大な聖火リレー計画;着工できない競技場 ほか)
著者等紹介
橋本一夫[ハシモトカズオ]
1932年鳥取県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。元NHK記者。オリンピックを中心としたスポーツの取材、報道を担当し、現在、スポーツ史研究家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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