講談社学術文庫<br> 忠臣蔵―もう一つの歴史感覚

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講談社学術文庫
忠臣蔵―もう一つの歴史感覚

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  • サイズ 文庫判/ページ数 362p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784062922036
  • NDC分類 774.2
  • Cコード C0174

出版社内容情報

「忠臣蔵」はなぜ、かくも日本人に愛され、いかに歌舞伎最大の古典になったのか。そして「忠臣蔵」をつくったのは本当はだれなのか。

日本人の心の中に「大石内蔵助」という名は一つの男の理想像として刻み込まれている。しかし、このイメージは、実は歴史上の実像とは隔たりがある。それでは、「忠臣蔵」という共同幻想をつくったのは、本当はだれなのか。そして、この壮大なフィクションは、なぜこれほど日本人に愛され続け、『仮名手本忠臣蔵』はどのようにして歌舞伎最大の古典となったのか。明晰な構成と文体で鮮やかに描き出す、第一人者による意欲作。

元禄十四年三月十四日<口の暦>

近松門左衛門の手紙
文盲の吾妻三八
もう一人の大石内蔵助
竹田一族の興亡

元禄十五年十二月十四日<中の暦>

中村松江の恋
尾上菊五郎の性根
偏癡気先生の視点
粋と肚

元禄十六年二月四日<切の暦>

【著者紹介】
1936年東京生まれ。演劇評論家。慶應義塾大学経済学部卒。東宝演劇部企画室を経て慶應義塾大学、東京大学、淑徳大学等で教鞭を執り、放送大学名誉教授。おもな著書に『女形の運命』『娘道成寺『四代目市川団十郎』『黙阿弥の明治維新』『江戸演劇史』『明治演劇史』など。

内容説明

日本人の心のうちに、「大石内蔵助」という名は一つの男の理想像として刻み込まれている。このイメージは、実は歴史上の人物像とは隔たりがある。それでは「忠臣蔵」という共同幻想をつくったのは、いったいだれなのか。そしてこの壮大なフィクションは、どのようにして歌舞伎最大の古典となり、時代を超えて一つの美意識を完成させるに至ったのか。

目次

元禄十四年三月十四日―口の暦
近松門左衛門の手紙
「文盲」の吾妻三八
もう一人の大石内蔵助
竹田一族の興亡
元禄十五年十二月十四日―中の暦
中村松江の恋
尾上菊五郎の性根
偏癡気先生の視点
粋と肚
元禄十六年二月四日―切の暦

著者等紹介

渡辺保[ワタナベタモツ]
1936年東京生まれ。演劇評論家。慶應義塾大学経済学部卒。東宝演劇部企画室を経て慶應義塾大学、東京大学、淑徳大学等で教鞭を執り、放送大学客員教授。2000年紫綬褒章、2009年旭日小綬章受章(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

sakase

4
仮名手本忠臣蔵がなぜこんなに人を引き付けるのか。 文楽と歌舞伎の歴史もわかる本。 粋と肚 肚芸とは、登場人物の心理描写を、表面的ではなく内に秘め、動作・視線などの端々に滲み出るようにする演技で、思い入れの間(ま)に意味を持たせます。2016/10/18

紫暗

3
我々が抱いている大石内蔵助のイメージはどのようにして出来上がっていったのかということが主に書かれている一冊です。討ち入り事件が発生した直後から舞台で演じられてきた大石内蔵助という人物像が、江戸の庶民に気に入られるように脚色され、更に演じる役者によって変遷していったであろう軌跡をわかりやすく説明してくれています。最後は四十七士の死に様の紹介で終了。実際の大石内蔵助と作られた大石内蔵助の差がわかりやすく説明されていました。2013/12/19

筋書屋虫六

2
歌舞伎史上最大の当たり狂言「忠臣蔵」が、如何に誰によって作り上げられていったか、なぜこれほどまでにうけるのかの謎に多角的に迫る1冊。江戸町民を熱狂させた史実としての赤穂事件を端緒にしつつも、芝居狂言の「忠臣蔵」は完成されたフィクションとして熟成された。最初の物語を書き上げた吾妻三八は文盲と言われた作家だったし、大星由良之助や勘平・お軽の人物造形は、沢村宋十郎や中村松江ら、時代と時代を渡って、役者の芸と身体を通し時代の呼吸と反応して作り出されていた。すみずみまで、最後まで読み応えがあった。2014/04/20

絶間之助

1
国立劇場で仮名手本忠臣蔵の歌舞伎、文楽の通し狂言が掛かるので、積読本を読みました。作者の吾妻三八、竹田出雲、役者の宗十郎、松江、団十郎、菊五郎達が、史実の大石内蔵助とは別のオオボシユラノスケの人間像を作る。それが今に続く人気狂言として受け継がれているという説。歌舞伎ファンには、九代目団十郎の肚、五代目菊五郎の粋の芸の説明が面白かった。特に菊五郎の勘平は、細かいところまで積み上げた所作の型があって、それぞれ意味がある。今月の七代目菊五郎はどうでしょうか、楽しみだなあ。2016/11/07

深川拓

1
事件の歴史的実像を検証するのではなく、如何にしてこの出来事が日本人にとって重要な“物語”に発展していったのか、を資料に基づいて解き明かした作品。『仮名手本忠臣蔵』に物語の基礎を仕上げた吾妻三八、“大石内蔵助”という記録からは充分に窺い知ることが出来ない人物に明確なキャラクターを肉付けしていった歌舞伎役者たち、そしてその背後にある日本人の道徳意識や文化の変遷までも垣間見せる。オリジナルは30年以上前の刊行ですが、いま読んでも説得力の感じられる、そして一読『忠臣蔵』に対する見方が変わる好著です。2014/02/18

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