講談社学術文庫<br> 水戸黄門「漫遊」考

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講談社学術文庫
水戸黄門「漫遊」考

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  • サイズ 文庫判/ページ数 387p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784062921282
  • NDC分類 920.2
  • Cコード C0121

出版社内容情報

中国の包拯、朝鮮の暗行御使、そして日本の水戸黄門。日本人に愛された「漫遊記」の成立を東アジア史に探り、その発展と受容を追う。

高貴な人間が諸国をめぐっては、悪代官をこらしめる。中国の包拯に朝鮮の暗行御使と、黄門様と同類型の物語は、隣国でも庶民の絶大な支持を受けていた――。中世から古代、現代へと、時空を超えた東アジアの歴史の中に「漫遊記」の成立をさぐり、歌舞伎や講談、映画・テレビなど、日本において長く国民的人気を博し続けた謎に迫る、異色の文学研究。

内容説明

高貴な人間が諸国をめぐっては、悪代官をこらしめる。中国の包拯に朝鮮の暗行御使と、黄門様と同類型の物語は、隣国でも庶民の絶大な支持を受けていた―。近代から中世、古代へと、時空を超えた東アジアの歴史の中に「漫遊記」の成立をさぐり、歌舞伎や講談、映画・テレビなど、日本において長く国民的人気を博し続けた謎に迫る、異色の文学研究。

目次

序章 「水戸黄門」への旅立ち
第1章 中国の名裁判官―物語と現実
第2章 朝鮮の『春香伝』と暗行御史
第3章 北条時頼から水戸黄門まで
第4章 英雄伝説と神話
第5章 巡遊する王
第6章 芸能とスパイ
第7章 『黄門漫遊記』の誕生―歌舞伎と講談
第8章 明治天皇と水戸黄門
第9章 『黄門漫遊記』の発展―映画とテレビ
終章 水戸黄門の仲間たち

著者等紹介

金文京[キンブンキョウ]
1952年生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程修了。京都大学人文科学研究所教授。専攻は中国文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

Toska

13
水戸黄門とそっくりな物語は中国や朝鮮にもあったというだけでもう面白いのだが、それはほんのとっかかりにすぎない。中央集権国家における監察制度のあり方、貴種流離譚とマレビト、朝倉敏景十七ヶ条、旅する始皇帝、漂泊する芸能の民、講談の中の黄門漫遊記、明治・昭和両帝の全国巡幸などなど、該博な知識を武器に当たるを幸いなぎ倒すといった趣。政治・神話・芸能等々、「漫遊」というテーマにふさわしく話があちこちに飛ぶのだが、どこを読んでも面白いから文句のつけようがない。お勧め。2023/05/05

紅林 健志

4
水戸黄門が今のかたちになるまでの経緯をたどってゆく。半分はもとになった中国・朝鮮の話の解説。民俗学的なアプローチをしているところもあって、そこはびっくりした。昔、『本格ミステリベスト10』の座談会で、ファン・ヒューリックの『四季屏風殺人事件』を水戸黄門みたいな話といっていたが、なるほど、源流が同じだったのか。著者は水戸黄門は東アジア的なもので、日本的とはいえないというが、昔、中国の研究者から水戸黄門みたいなパターン化された話は中国では好まれないとか聞いた記憶ある。2025/09/17

ぼのまり

3
水戸黄門はどこからどうみても創作時代劇であるが、登場する印籠の背景を中国の皇帝が使者に持たせた金牌などとの共通性や、地方行政の粛清するなど、密使、隠密的な行動パターンに見出すなど、興味深い論考です。2013/06/07

dokugokan1

1
金文京『水戸黄門「漫遊」考』は、水戸黄門の漫遊記の源流とその沿革を大きなテーマに据えて、中国の包拯もの、朝鮮の暗行御史のほか、王が各地を巡遊する各種神話、監察官やスパイに関する制度史などを幅広く考察する。もちろん、日本における講談の発展、ドラマ「水戸黄門」の沿革にも触れている。 各テーマはいずれも新しい発見に満ちていて、興味は尽きない。 文章も平易にして明晰で、しかも味わいがある。 ドラマ「水戸黄門」で印籠を出す演出を考えた人物が、中国や朝鮮の同種の説話を知らなかったことに、巧まざる偶然の一致を感じる。2021/06/22

Stella

1
半分まで水戸黄門とは直接関係のない公案小説や暗行御史、時頼廻国伝説、始皇帝をはじめとする中華皇帝の巡幸ときて「大丈夫だろうか」と思ってしまったが、それら東アジアにある同類系の物語を下敷きに、講談や映画、テレビと発展していく「水戸黄門漫遊記」の歴史を分析している。2013/02/13

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