出版社内容情報
ドナルド・キーン[ドナルド キーン]
著・文・その他
金関 寿夫[カナセキ ヒサオ]
翻訳
内容説明
西洋との鮮烈な邂逅で幕を開けた日本の近代。遣欧米使節、諭吉、鴎外、漱石、植木枝盛、子規、啄木、蘆花、荷風―。有名無名の人々が遺した三十二篇の日記に描かれる、幕末・明治という日本の「若い時代」に現出したさまざまな異文化体験。そこに浮かび上がってくる、日本人の心性と日本人像、そして近代日本の光と陰。日記にみる日本人論・近代篇。
目次
序 近代日本人の日記
近代(遣米使日記;奉使米利堅紀行;西航記;尾蝿欧行漫録;欧行日記;仏英行;航西日記(渋沢栄一)
米欧回覧実記 ほか)
著者等紹介
キーン,ドナルド[キーン,ドナルド][Keene,Donald]
1922年、ニューヨーク市生まれ。コロンビア大学卒業。コロンビア大学名誉教授
金関寿夫[カナセキヒサオ]
1918~1996。英文学者・翻訳家。同志社大学文学部英文科卒業。神戸大学教授、東京都立大学教授を歴任。東京都立大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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みつ
25
「日記にみる日本人」について、正篇に続き、本書では幕末からの近代を取り上げる。著者は当初、ごく最近のものまでを取り上げる予定だったとのことだが、興味深くしかも膨大な日記が多いため(徳冨蘆花のものは、5年間で四千ページに及ぶとか)明治時代までで終わっている。それでも700ページを超え、しかも書き留めておきたい箇所も多いため、メモ書きもノート130ページ余り、半月以上、この本にかかりっきりだった。開国後の西欧文明との出会いを綴ったものが多い中、北海道でアイヌの人々と交流した松浦武四郎の日記が目を引く(②へ)。2025/05/01
佐島楓
23
近代日本の市井の人々や文豪の日記を読み解いたもの。幕末から明治期まで、さまざまなかたの身辺を読むことができ、非常に身近に感じられた。一日をかけ夢中になって読んだ。特に正岡子規の日記は、病床にありながら想像の翼を忘れぬところが胸に迫る。有島武郎にいたっては、小説で抱いていたイメージが一変してしまった。日記のプライベートさゆえに、ここまで歳月が過ぎても書いた人間を丸裸にしてしまう。書き記すことの大切さ、怖さを知った。この続編も前編も、とても勉強になった。名作。2013/06/30
呼戯人
13
ドナルド・キーンは2012年に90歳を過ぎて、日本人になった。東日本大震災と福島第一原発の事故によって打ちひしがれていた私たちにとって、このことはどれほど勇気を与えられたことだったか。政府と東電の無責任極まりない対応を見て、この国の無責任体制は戦前の日本と少しも変わらないことを知った。多くの外国人は逃げ出していった。しかし、この人はそのときに日本に帰化したのだ。それほど日本を愛するこころを持ったドナルド・キーンから日本の良さについて学びたいと思った。2015/10/10
KAZOO
9
この巻は明治以降の日記関係が掲載されています。前の巻よりも紹介作品が少ないのにページが多くなっています。というのは筆者が前の巻の日記は日本文学史で結構論じておられるからだということがわかりました。明治以降の分野はどちらかというとノンフィクションや記録的な観点からのものが多くあって論じる部分が多くなったのだと感じています。2013/08/11
壱萬参仟縁
7
幕末からの続編。圧倒的な存在感。『西航録』(71頁~)で福澤諭吉は、エジプトの印象は悪かったが、パリでは病院やスエズ運河の費用捻出、選挙制度などフランスには高い関心を示したという。「漱石日記」(309頁~)は、英国生活で憂鬱症で体調を崩していく。「津田梅子日記」(459頁~)。英語をマスターした優れた女性とわかる。日記も英語で書いた。見習いたい。国木田独歩「欺からざるの記」(489頁~)。真面目がキーワード。不真面目な生き方を反省させられると思う。2013/05/20