出版社内容情報
一地方の成立を語る民話であり神話でもある半身蛇のメリュジーヌは、騎士に領地、城塞、子供、そして繁栄を与えた。物語の背景には、中世末の経済的発展と文化の浸透がある。ルゴフ、ラデュリ論文も併録。
内容説明
十五世紀、フランスのポワトゥー地方。領主の命で、書籍商クードレットは家門の歴史を物語る。伯父を殺したレイモンダンは、森で出会った絶世の美女メリュジーヌと結婚。開墾、城塞、街、武勲溢れる子供たち…。しかし幸福な繁栄は、破棄された約束から暗転する。地方貴族の数奇な運命を描く一大叙事詩。アナール派の泰斗ルゴフ、ルロワ=ラデュリの詳細な論考を併録。
著者等紹介
松村剛[マツムラタケシ]
1960年生まれ。東京大学教養学部卒業。パリ第4大学新課程博士。現在、東京大学准教授。専門は、中世フランス文献学、語彙論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
蛇の婿
16
前半が『メリュジーヌ物語』、後半がその論考です。どちらも非常に面白く、かつ、興味深いです。…まあ…後半の論考は民俗学とかに興味がないとちょっときついかなw しかし後半の論考はかなり穿って書かれてあるように見受けられますので、、異類婚譚などに興味のわいた奇特な向きは読んでみても損はないと思います。…あえて付け加えるならメリジューヌにしろオンディーヌにしろ日本で言う海から来たマレビトならぬ森の奥に住まうマレビトの概念があるんじゃないかなということかな…2014/02/13
マリリン
12
「妖精メリュジーヌ物語」は、西洋の民話らしい。「鶴の恩返し」に似ているが、物語はメリュジーヌの子供10人の事や、きょうだい・親についても書かれていて楽しい読書になった。241㌻からの論考も良かった。2018/03/04
いとう・しんご singoito2
8
韻文の物語本文にルゴフとルロワ=ラディリの論考がついています。物語も典雅な味わいがあり愉しめるし、論考も読み応えがありました。2024/01/29
ヴィオラ
3
「妻との約束を破ったために、それまでの幸せな生活を失ってしまう」鶴の恩返し的な話。遠く離れた地域の民話・伝承に、同じようなモチーフが現れるのって、やっぱりちょっと不思議でワクワクしますね(^_^)2011/06/17
ankowakoshian11
2
積み本消化。神話。異種婚譚。妖精メリュジーヌを娶った王が名誉、武勲、愛など栄光栄華を与えられるが、妻との約束を破ってしまったために凋落する話。子供が8人、それぞれについても語られる構成で、ある王家の血筋の話でもあり。先日読んだアーサー王物語で描かれる女性のステイタスの違い。間違いを起こすのはいつも男で、女性は愚かな男をそれでも愛し、赦し、罰したりする。神話では女性も強い。後半は研究者による民話/神話/伝説の変遷の分析。こちらも興味深かった。2022/03/25
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