講談社学術文庫
中国春画論序説

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  • サイズ 文庫判/ページ数 354p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784062920070
  • NDC分類 722.2
  • Cコード C0198

出版社内容情報

中国は「開放的」、日本は「褻視的」である
風水・タオが教える「気」の満ちた空間での情交を夢みた中国人の身体観・宇宙観・肉麻観を読み解く

身体よりも象徴に、絵よりも文字に、性器よりも行為に、肉が麻(むずむず)する中国的感性は、独特の春画世界を創出した。屋外風の場所で、無表情(ニル・アドミラリ)かつ性差不明の男女が交合するのだ。老荘思想、房中術、煉丹術、園林術、纏足愛好、怪異趣味などが織りなす中国春画の不思議な文法(グラマー)とは? 日本、インド、西欧の春画との縦横な比較で、中国的快楽の源泉を探る。

中国美術でいうところの絵画、すなわち山水画、花鳥画、人物画などに、それぞれのグラマーがあるように、「低俗」な春画にもまた、しかるべきグラマーがあるはずだ。グラマーとは、たとえば「中国の山水画には絶えて地平線が引かれたことはない」といった素朴な基本原理(グラマー)のことである。そのグラマーのキーワードは、庭園と肉体にあると、私はかねてから考え、すこしずつ書いてもいた。それらの考えを新たに再構成し、書きおろしたのが本書である。――<「あとがき」より抜粋>

※本書の原本『肉麻図譜 中国春画論序説』は2001年、作品社から刊行されました。

序.『金瓶梅』はなぜ「肉麻(いやらしい)」か?
1.ホルトゥス・エロティカ――官能の庭
2.非在の肉体――からだ抜きの行為
3.文字か絵画か――肉麻性のゆくえ


中野 美代子[ナカノ ミヨコ]
著・文・その他

内容説明

身体よりも象徴に、絵よりも文字に、性器よりも行為に、肉が麻する中国的感性は、独特の春画世界を創出した。屋外風の場所で、無表情がつ性差不明の男女が交合するのだ。老荘思想、房中術、煉丹術、園林術、纏足愛好、怪異趣味などが織りなす中国春画の不思議な文法とは?日本、インド、西欧の春画との縦横な比較で、中国的快楽の源泉を探る。

目次

序 『金瓶梅』はなぜ「肉麻(いやらしい)」か?
1 ホルトゥス・エロティカ―官能の庭(あけっぴろげ!;春画のなかの庭園;鞦韆のシンボリズム ほか)
2 非在の肉体―からだ抜きの行為(男の性的階層化;ファロスの政治学;春画におけるジェンダー ほか)
3 文字か絵画か―肉麻性のゆくえ(密室の擬近代;ポルノ文学の文体;匿名性と個 ほか)

著者等紹介

中野美代子[ナカノミヨコ]
1933年生まれ。北海道大学文学部卒業。オーストラリア国立大学助手・講師。北海道大学教授を歴任。現在、北海道大学名誉教授。専門は、中国文学、シノロジー図像学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

HANA

45
中国春画のコスモロジーを解説した一冊。図像学にとどまらず中国文化における男色や纏足、馬上での咬合や房中術までこれでもかこれでもか、というほどに詰め込まれている。日本の猥視に対する中国の開放感という文化の対比も面白い。で肝心の春画だけど、どれもこれも実用には使えないような一品ばかり。作者の絵解きも入って稚拙な理由も判明するのだが、何となく中国の絵画自体が人体を描くのに向いてないような気もしないでもない。ともあれ次から次へと取り出される博引旁証の海に圧倒される一冊でした。個人的には文学関係が一番面白かったが。2014/10/28

おMP夫人

11
中国の春画は日本とは全く違っていたので驚きました。少しもいやらしくなく、絵画として鑑賞するとかなり稚拙。しかしこの本の解析によると、そこには中国ならではの易の思想や宇宙観が数多く隠されていて大変興味深く見ることができます。日本の春画は主に劣情を煽ることが目的ですが、中国の春画はむやみな射精を良しとしない「還精補脳」を理想とした房中術に基づいている。だから猥褻さは必要としないという仮説には納得させられました。盛りだくさんの内容で中国の歴史や古典の知識がないと厳しい面もありますが、奥深い世界を味わえる本です。2013/02/01

gelatin

5
★★ 前から纏足に興味があったのと、前に丸谷才一のエッセイで中国のぶらんこに性的なニュアンスがあると読んだので、そこんとこもうちょっと詳しく、と思って購入。もっと狭く深いところまで踏み込んで欲しかったな〜と思ったが、「序説」だから仕方ないか。春画としてはやはり日本の方が爛熟している印象で、あらためて国民性とそれを培ってきた文化と風土の差を感じる。2014/11/02

GEO(ジオ)

5
中国の春画に関する本だが、ちっともハアハアするような内容ではない。しかし、男女共に逆立ちしての行為とかはもはやギャグにしか見えないw2013/10/25

いちはじめ

4
○○論序説、といったタイトルの本にはなんとなく「当たり」が多いような気がするが、本書もなかなか読み応えあり。図版も多数収録されているが現代日本人の目にエロく感ずるとは思えないようなのばかりなので安心? 実際、半分くらい電車の中で堂々と読んだ2010/08/22

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