内容説明
一九三一年九月一八日、奉天郊外の柳条湖で南満州鉄道の線路が爆破された。この事件を契機に、大陸での勢力拡大を目論む関東軍は満州(現・中国東北部)全土を占領する。膨大な史料の精緻な読みをとおして、第一次山東出兵、張作霖爆殺事件から、関東軍の暴走、満州国建国、国際連盟脱退まで、当時の状況を詳細に再現、近現代史の問題を抉剔する。
目次
第1章 動乱のアジア大陸(第一次北伐と日本;第一次山東出兵;東方会議;第二次山東出兵と済南事件)
第2章 満州事変前夜(関東軍;張作霖の爆死;幣原外交の行きづまり;危機の切迫)
第3章 満州事変(暴走する現地軍;チチハル進撃;錦州進出;第一次上海事変;満州国の誕生;馬占山問題と国際連盟脱退;満州から華北へ)
著者等紹介
島田俊彦[シマダトシヒコ]
1908~1975。東京生まれ。東京大学文学部国史学科卒業。元武蔵大学教授。専攻は現代日中関係史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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タコ太郎
3
中国の地方の名称や昭和初期の軍政・軍令の組織関係について、ある程度知識があることを前提に書かれており、全くの初心者だった僕には骨がバキッ。随分と時間を要した。 本書では、個々人の思想が歴史的事象に大きく影響している点や、昭和初期における「統帥権」がどのように実践されていたかを垣間見れた。 これまで行政組織の構図を意識したことがなかったけど、何らかの狙いがあって構築されている以上、如何なる理由で当該構図が形成されたのかを理解することも重要なんだな〜 政党の構図を知ることも政治理解には欠かせないし…2017/11/27
勝浩1958
2
関東軍の蛮行が詳しく書かれているが、それにしてもこの当時の中国国内の情勢はとても複雑で分かりにくい。権力闘争に明け暮れていたのであろうか。2010/10/30
T F
1
組織が大きくなるほど、指揮命令を徹底することは難しい。人事上の措置を正しくすることは必要だろう。2020/09/19