講談社学術文庫<br> 最後のロシア皇帝ニコライ二世の日記

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講談社学術文庫
最後のロシア皇帝ニコライ二世の日記

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  • サイズ 文庫判/ページ数 349p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784062919647
  • NDC分類 288.493
  • Cコード C0122

内容説明

帝政ロシア最後の皇帝となったニコライ二世。その生涯は歴史の流れの大転換を一身に体現するものであった。訪日の際の大津事件、日露戦争、第一次世界大戦への突入、革命の進行に伴う退位と抑留等、歴史的事件の渦中で彼は何を見、どう動いたのか。処刑の直前まで書き続けられた日記から、日常の政務、革命への態度、人間関係、日本観などを読み解く。

目次

訪日。大津で巡査に襲われ頭に負傷
長崎で竜の入れ墨をした皇太子
鹿児島・京都で受けた大歓迎
ロシア軍艦アゾフ号を天皇が訪問
レニングラードに眠っていた天皇の贈り物
天皇の謝罪を高く評価したロシア
皇太子が血道をあげたバレリーナ
父皇帝の死、即位。アリックスとの結婚
新皇帝は日露戦争に乗り気でなかった
戦争に敗れ、革命への胎動が表面化
血の日曜日事件とポチョムキンの反乱
皇帝の人間像や功罪についての誤解
国会開設。地に堕ちた専制君主の座
日露外交での日本側主役は本野大使
多難な時期にも、威厳に満ちた暮らし
ラスプーチンをめぐる宮廷の人間模様
革命から処刑へ。ロマノフ王朝の崩壊

著者等紹介

保田孝一[ヤスダコウイチ]
1929年静岡県浜松市生まれ。法政大学社会学部卒。東京大学大学院修士課程で西洋古代史とロシア史を専攻。岡山大学赴任後ロシア革命前のミール(農村共同体)、日露関係史を研究。元岡山大学名誉教授。2006年逝去。研究史料は没後、岡山大学図書館、東京大学史料編纂所に寄贈された(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

雲をみるひと

11
ニコライ2世の日記を読み解き、その人となりを分析した本。日記を細かくつけるニコライ2世の几帳面な性格、母や妻ほか家族への思い、宮廷の外で大事件があっても狩猟やゲーム等のライフスタイルを変えない性質といったニコライ2世の様々な側面がわかる。また、年齢が進むとともに日記の内容が淡白になってきている点などニコライの内面の充実とリンクしているようで興味深い。2019/04/10

isao_key

8
ロマノフ朝第14代にして最後のロシア皇帝であったニコライ二世が書き残した日記から主要な部分を抜き出して逐次解説を加えた評伝。日本との関係においても皇太子時代に訪日した際に、見聞した様子、印象、津田三蔵巡査にサーベルで切り付けられた事件(大津事件)に出くわした時のことや、日露戦争に突入していく情勢など興味深い記述が多い。また後年、皇后アリックスから絶大な信頼を得ていた怪僧ラスプーチンに関する記載も多く、アレクセイ皇太子の血友病を治療してから、皇帝一家に取り入れられたこともよく分かる。今もって貴重な歴史資料。2015/08/19

若黎

5
突如皇帝一家全員を処刑し、遺体をどこともしれない場所で焼却し抹殺したのに、4日前までつけていた日記はしっかり残っているというのは、不思議なことだ。それまで書き溜めていた分もすべて持って移動してたのかしらん。 それと、他の本では日本のことを嫌っていたとする皇帝が、日記ではまるで反対とはね。まあ、世の中に流布することは、真実ではないこともあるということかな。昔、オルフェウスの窓を読んだから出会った本でした。2021/05/30

えすてい

2
時代劇にたまに登場するテーマ「侍になりたくなかった男」。ニコライ二世は「皇帝になりたくなかった男」なのかもしれない。少なくとも「皇帝」という(専制)帝国のトップに君臨するのに「相応しい」性格・素質ではなかったのは間違いない。著者は「ロマノフ朝は滅びるべくして滅んだ」と結論付けている。ニコライ二世の性格・素質は「家庭パパ」。ボリシェヴィキに処刑されたことで悲劇の「致命者」としてロシア正教会の聖人となったニコライ二世とその家族。ニコライは何度も祈りに出かけているが、それと皇帝の素質は関係はないのかもしれない。2016/11/06

氷菓子

1
大津事件、日露戦争、帝政末期を中心にニコライ二世の日記を読み解いている。平時は書類処理、訪問者との面会、娯楽として狩猟、ドミノ、ビリヤードなど。後世の人に見られる事を意識している事を考慮に入れても、他人を悪く言う事が少なく、大津事件で警官に切りつけられ、最初は誰も助けようとしなかったにも関わらず日本への好意は変わらないと記している。家族を思い、ロシアが平和であるようにと神に祈る言葉に溢れており、優しい心の持ち主なのは間違いないがそれが隙となってロマノフ朝崩壊を招いた面もある。2020/10/22

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