出版社内容情報
本人の民間信仰に深く浸透していた「不浄」の観念とは?
民間信仰において、ケガレを祓う儀礼は頻繁に多様な形で行われていた。人間の不幸は、ケガレ=不浄に原因があると考えられ、生活の隅々にまでその指標が浸透していたのである。死=黒不浄、出産・月経=赤不浄、罪や病、境界・峠という空間等、様々な民俗事例にあらわれたケガレ観念の諸相を丹念に追い、信仰行為の背後にあるものを明らかにする。
文化人類学では、人間の文化は自分たちを取り巻く世界を構造化するものであるとする。その構造は、その文化を担う人々によって明示されている。それとは気づかぬまま、人々はその構造に従って認識し行動する。優劣を付けたり、差異化さらには差別したり、グループ分けしたり、強い関係、弱い関係を結んだり、関係を結ぶことを拒否したりする。少くとも、1980年代までの日本文化では、世界を構造化する大黒柱にケガレという指標を用いていたといえる。ケガレは差異化のもっともわかりやすい、そして、時には感情に訴え、身体反応までも引き起す強い指標であった。――<「学術文庫版まえがき」より>
※本書の原本は、1985年、東京堂出版より刊行されました。
第1章 「ケガレ」観念をめぐる論議とその重要性
第2章 民間信仰におけるケガレ観念の諸相――黒不浄・赤不浄・その他
第3章 空間と時間とにおけるハレ・ケ・ケガレの観念
第4章 「災因論」としてのケガレ観念と儀礼
波平 恵美子[ナミヒラ エミコ]
著・文・その他
内容説明
民間信仰において、ケガレを祓う儀礼は頻繁に多様な形で行われていた。人間の不幸は、ケガレ=不浄に原因があると考えられ、生活の隅々にまでその指標が浸透していたのである。死=黒不浄、出産・月経=赤不浄、罪や病、境界・峠という空間等、様々な民俗事例にあらわれたケガレ観念の諸相を丹念に追い、信仰行為の背後にあるものを明らかにする。
目次
第1章 「ケガレ」観念をめぐる論議とその重要性(民間信仰におけるケガレの観念の重要性;松平斉光におけるケガレ論;柳田国男におけるケガレ論;最近のケガレ論―桜井・薗田・宮田におけるケガレ論;岡田重精のイミの研究;波平のケガレ論)
第2章 民間信仰におけるケガレ観念の諸相―黒不浄・赤不浄・その他(死に係わるケガレ―黒不浄;出産・月経とケガレ―赤不浄;罪とケガレ・病とケガレ・その他;火とケガレ)
第3章 空間と時間とにおけるハレ・ケ・ケガレの観念(空間の認識におけるハレ・ケ・ケガレ;時間の認識におけるハレ・ケ・ケガレと年中行事再考)
第4章 「災因論」としてのケガレ観念と儀礼(災いの原因の説明としてのケガレ;「災因論」としてのケガレ観念の多様性;メアリー・ダグラスにおける不浄と危険の理論)
著者等紹介
波平恵美子[ナミヒラエミコ]
1942年福岡県生まれ。九州大学大学院博士課程単位取得満期退学、テキサス大学大学院博士課程修了(Ph.D.取得)。佐賀大学助教授、九州芸術工科大学(現・九州大学芸術工学部)教授、お茶の水女子大学教授を歴任。現在、お茶の水女子大学名誉教授。専門は文化人類学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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中年サラリーマン
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