出版社内容情報
「彼らの仕事は、日本人がしたことである」 古代日本社会を形成し新たな精神世界の展開を可能にした高度な技術・知識を伝えた集団とは何者か。5‾9世紀初頭の帰化人の姿を鮮やかに描く、古代史学の金字塔
序論
第1編 初期の帰化人
第2編 後期の帰化人
補論 遣新羅使の文化史的意義
関 晃[セキ アキラ]
著・文・その他
内容説明
四~五世紀、楽浪・帯方から渡来し、大和政権に貢献した人々。六~七世紀、律令国家成立に寄与した韓民族。日本が新しい段階に足を踏み入れ、豊かな精神世界の展開を可能にする、大陸や半島の高度な技術や知識をもたらした彼らこそ、古代の日本人そのものだった―。帰化人の実像に迫り、古代東アジア史研究に多大な影響を与えた、不朽の金字塔。
目次
序論
第1編 初期の帰化人(鳥羽の表;氏姓制度;東西の史部;西文氏;東漢氏;漢部と漢人;秦氏)
第2編 後期の帰化人(王辰爾の一族;鞍作氏と新漢人;旻法師と高向玄理;百済の亡命者;奈良朝の帰化人;『新撰姓氏録』)
補論 遣新羅使の文化史的意義
著者等紹介
関晃[セキアキラ]
1919~1996。東京帝国大学文学部国史学科卒業、東京大学大学院修了。東北大学名誉教授。専攻は日本古代史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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sibasiba
14
帰化人の多くが東国に移されていたという記述が目新しい。帰化人のイメージとしては技術者や文化人や僧侶だったが船が流されて帰れなかった普通の人も当然沢山いたんだ。征夷大将軍の坂上田村麻呂って帰化人系統だったのか。2015/04/10
Akiro OUED
2
七支刀の銘文の解読によって、古事記や日本書紀に記述のある王仁博士の渡来は歴史的な事実だ、とする検証過程には説得力がある。帰化人の時代の日本語と韓国語は、意思疎通が今より容易な似た言葉だったのかな。今の日本人は帰化人の末裔だという指摘、確かにそのとおり。嫌がる人も多いかな。2021/10/08
hr
1
読了。「われわれの祖先が帰化人を同化したというような言い方がよく行われるけれども、そうではなくて、帰化人はわれわれの祖先なのである」という言葉、これを立証していこうとする流れに圧倒された。律令国家建設期で、かつ唐との国交断絶期だった時代、大きな役割を演じたのが大陸からの帰化人だった。異国の地に住み、異国に多大なる貢献を残した帰化人たちは、「日本人」なのだ。索引がありがたい。2016/01/02
くまきん
1
入管もパスポートも無かった時代、彼らはどんな意識そして気持ちで倭国にやって来たのだろうか。この著作が最初に出版されたのは昭和31年、私が産まれる前だ。だから視点として古さを感じる部分もあるが、著者はこう述べている。「古代の帰化人は、われわれの祖先だといいこと、日本の古代社会を形成したのは主に彼ら帰化人の力だっということ、この二つの事実がとくに本書ではっきりさせたかったことである。」「彼らのした仕事は、日本人のためにした仕事ではなくて、日本人がした仕事なのである。」これには共感を感じる。彼ら帰化人(今は主に2015/10/27
makkachinn
0
不比等=文を執る人=史人、氏姓制度は朝鮮の儒教システムの移入。大和の文=倭漢ではないかと納得。西文氏、東文氏が古い帰化人。秦氏は独占していた機織りなどのテクノロジーが庶民にいきわたり、衰退した。諸番=八幡ではないか。内容は充実・気になる点、渡来人と帰化人の定義の問題は土地財産の帰属ではないだろう。地図や写真が少ない。作者が陸軍出身者という影響もあるせいか、参考文献に大陸側の資料が乏しい。2017/08/02